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ヴェラ・クルーゾー、まさに肌が粟立ち戦慄する恐怖に捉われた「悪魔のような女」。この映画が公開された当時、50年以上前のことだが、本当に震える思いで作品を見た。
横暴な夫に耐え切れなくなった妻と愛人が、夫の殺害を企てる。ヴェラ扮する妻は病気がちでしかも心臓が悪い女。シモーヌ・シニヨレ扮する愛人が実行犯を引き受ける。 風呂に漬け込んでの殺しの場面、学校のプールに死体を投げ込み、プール掃除でプールが乾されるのを待つシーン、だが、乾されたプールに死体はない。恐るべきサスペンスの連続。 死体はどこに消えたのか。緊迫感溢れる描写に唸らせられる。ラスト近く、2階を歩き回る物音に怯える妻、そして、風呂桶に沈んだ死体が起き上がる場面の恐怖・・・。ヴェラは目を恐怖にカッと見開き、そして絶命・・・。 この場面の演技は実に見応え充分であった。アルフレッド・ヒッチコック監督も大いに影響を受けたそうである。 悪魔のような女 ラストの意外性は公開当時、大いに話題を呼んだ。映画を見た人はまだの人に喋らないでほしいと言う映画会社からのお達しがあったと記憶している。 彼女は1913年12月30日、ブラジルのリオデジャネイロに生まれ、第二次世界大戦前にフランスのパリに移住した。 その後、アンリ=ジョルジュ・クルーゾーが監督する映画にスクリプターとして参加し、それがきっかけで1950年に結婚した。 アンリ=ジョルジュは自分の映画製作会社を、彼女にちなんでヴェラ・フィルムと名付け、ヴェラを自分の監督作品「恐怖の報酬」(1952)、「悪魔のような女」(1955)、「スパイ」(1957)に出演させた。 恐怖の報酬 また、「真実」(1960)では、共同脚色者として参加している。 「真実」の撮影中、監督のアンリ=ジョルジュと主演のブリジット・バルドーの仲が取り沙汰され、ヴェラは神経衰弱に陥った。1960年12月15日、ヴェラはパリのホテルの浴室で心臓発作を起こして急死した。46歳。服毒自殺という説もある。遺体はモンマルトルの墓地に葬られた。 ヴェラの死は何ともいたましい。それもアンリの浮気が原因とは・・・。悲しすぎる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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