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シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

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カテゴリ:ハ~ホ
フレドリック・マーチ、この名優の名をご存知でしょうか。アカデミー主演男優賞を2回獲得した演技派である。

彼のアカデミー受賞作品、それは「我等の生涯の最良の年」であった。これは復員兵の物語であるが、傷つきながらも社会復帰に挑む男たちを支える女たちの愛の物語である。

我等の生涯の最良の年

軍曹だったアル(フレドリック・マーチ)、空軍大尉として故郷に凱旋したフレッド(ダナ・アンドリュース)、恋人の愛を憐憫としか捉えられない両手首を失い義手の水兵ホーマー(ハロルド・ラッセル)、元兵士3者3様の姿が描かれていく。

この三人を支え励ます女たちの愛が実に感動的だ。愛の力は不変だということをしみじみとかんじさせてくれる映画である。

オスカー俳優のマーチは若き日の銀行員の経験を生かし、見事な演技を見せてくれる。アルの妻ミリー役のマーナ・ロイ、娘役のテレサ・ライトも実にいい。

最近の心がささくれだった世相に、この映画で、ぜひとも”愛の不変”を再認識してほしいと思うのは私だけではなかろうと思う。


彼は1897年8月31日、ウィスコンシン州で生まれた。子どもの頃から芝居好きで、14歳でアマチュア劇団に参加。ラシーン・ハイスクールを経て、ウィスコンシン州立大学に入学し、経済学を専攻するも、折からの第一次世界大戦によって砲兵隊に中尉として従軍。帰還後は同校を卒業。

この頃からジョン・バリモアに憧れて本格的に俳優を目指すようになる。1920年にナショナル銀行の行員となるが、結局は俳優の夢を捨てきれず、盲腸の手術をうけたこともあって、銀行を退職して病院の臨時職員を勤めながら、モデルや舞台の端役出演などで暮らす。

1929年、「ダミイ」で本格的に映画デビュー。トーキー時代の最初のスターになった。31年製作の「ジキル博士とハイド氏」でアカデミー男優賞を獲得する。

これはホラー映画の主役が得た唯一の主演賞である。その後、映画の役柄に不満を感じていたマーチは、映画界から離れて舞台に戻ったが、大きな成功は得られなかった。

マーチが再び日の当る場所に返り咲いたのは「我等が生涯の最良の年」の銀行員アル役であったのだ。そして、49歳で再びアカデミー主演男優賞に輝いたのであった。

この映画で単なる二枚目から苦悩に満ちた中年男へと見事に変身し、さらなる人気を呼ぶ。翌年は舞台でもルース・ゴードン作の『Years Ago』でこの年に創設されたトニー賞の最優秀男優賞を獲得。

1951年には劇作家アーサー・ミラーの代表作の映画化「セールスマンの死」(アカデミー主演男優賞ノミネート)でヴェネチア国際映画祭の男優賞を受賞、1955年のサスペンス映画「必死の逃亡者」ではハンフリー・ボガート扮する脱獄犯相手に迫真の名演技を残し、1957年には再びユージン・オニール作の舞台『夜への長い旅路』でトニー賞に輝いた。

  

1960年には社会派映画の第一人者であるスタンリー・クレイマー監督の意欲作「風の遺産」にライバルのスペンサー・トレイシーと共演、二人とも同じウィスコンシン州出身、2度のアカデミー賞を獲得、そして『ジキル博士とハイド氏』で主役を演じていたことなど彼らには共通点も多く、実際、二人は私生活でも仲が良かったという。

私生活では1923年にエリザベス・ベイカーと結婚するが、のちに離婚。1927年に結婚したフローレンスとは映画に共演作も多くおしどり俳優夫婦として知られた。1972年に前立腺癌の手術を受けるも3年後に帰らぬ人となった。1975年4月14日、享年77歳で没した。

アカデミー主演男優賞を2度も受賞した俳優はマーチをはじめ、スペンサー・トレイシー、ゲーリー・クーパー、マーロン・ブランド、ダスティン・ホフマン、ジャック・ニコルソン、トム・ハンクス、ダニエル・デイ=ルイスとわずかしかいないが、現在、彼らに比べて日本は勿論、アメリカ本国でもフレドリック・マーチの知名度は低い。

主な出演作には、「ジキル博士とハイド氏」「トコリの橋」「奥様は魔女」「生活の設計」 などがある。

   





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Last updated  2010.03.29 21:05:35
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