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ドロシー・マクガイア、彼女の作品で印象に残るモノと言えば、グレゴリー・ペックと共演した「紳士協定」だろうか。
この映画はエリア・カザンが人種偏見を真っ向から取り上げた問題作で、アカデミー3部門を制覇した作品である。 これはアメリカ社会に巣食う反ユダヤ主義を調査し、そのルポを書こうとするジャーナリストの姿を描いた社会派ドラマだ。「赤狩り」の圧力の中でハリウッドの良心として作られたのがこの映画「紳士協定」だ。 妻に先立たれ、幼い息子と老いた母と暮らす人気ライタのフィル(ペック)が、週刊”スミス”の編集長の招きで、反ユダヤ主義の記事を依頼される。 記事の発案者は編集長の姪、キャシー(ドロシー)だ。キャシーとフィルの愛を軸にドラマは展開していく。フィルは自分をユダヤ人だと偽って反ユダヤ主義の本質を探ろうとする。そのため、予約したホテルからはキャンセルされ、息子のトミーは学校でイヤガラセをされ仲間はづれにされる始末。でも、フィルはへこたれない。だが、それに次第についていけなくなるキャシー。 結婚目前の二人の仲に暗雲が立ちこめ、破局を迎える。が、それを救ったのはフィルの幼馴染のユダヤ人、デイブ(ジョン・ガーフィールド)だった。 彼はキャシーに語る。 「ある男が食事の席で冗談を言った。皆がその男を軽蔑した。だが、何もしなかった。それがホテルのことやトミーのことを引き起こす」 「その冗談を止めなければ、そういうこと?」 「そうだ」 「それだったのね、フィルが望んでいた事はーー。そういう人に対して闘う事だったのね」 「その男だけじゃない、その場にいて黙って聞いていた人たちもだ」 「彼らも私も何もしなかった。何もしないことが問題なのね、理解したわ。フィルは闘うわ、これからもずっと。もし私がただ座ってたらーー、彼の妻として失格だわ。私たちの争いの根本が、それだったのね、初めてわかった」 「そうさ、男が妻に求めるのは、只の同伴者以上の事だ。単なる愛する女でも子供の母親でもない。困難を一緒に闘える相棒なんだ。そして、その問題を一緒に乗り切らないと、うまくはいかない。君は頭の固い頑固者じゃない、優しくて柔軟で意志を通せる女性だ。自分の望んだ事をやり遂げればいい」 「私でも、出来るのね?言葉よりも行動なのね」 長い引用になったが、この作品のテーマが語られていると思ったからだ。彼女は知的な女性を見事に演じていた。 ドロシー・マクガイア、彼女は1913年6月14日、ネブラスカ州オマハで生まれた。ラジオや舞台からキャリアをスタートさせ、ブロードウェイで成功する。 プロデューサーのデヴィッド・O・セルズニックに招かれて1943年に映画デビュー。1947年の「紳士協定」ではアカデミー賞にノミネートされた。映画では知的で誠実な役柄を多くこなしたと言えよう。 彼女の出演作品としては、「愛の泉」「ブルックリン横丁」「スイスファミリー ロビンソン」「かもめのジョナサン」などである。 私生活では写真家と1943年に結婚し、夫の死まで連れ添った。子供が二人いる。彼女は2001年9月13日、享年88歳で天国の住人となった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.03.31 20:36:05
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