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テーマ:男優たちの華麗な酒盛り(277)
カテゴリ:タ~ト
チャールズ・ロートン、この名優の名を覚えておいでだろうか。私が彼を知ったのは、かの有名な映画「戦艦バウンティ号の叛乱」である。
戦艦バウンティ号の叛乱 この映画は18世紀末近く、タヒチ島からジャマイカ島に向かって南海を航行中のイギリス軍艦バウンティ号のプライ艦長に船員たちが反乱を起こした事件をもとにチャールズ・ノードホフとジェームズ・ノーマン・ホールが書いたベストセラー小説の映画化である。 バウンティ号のブライ艦長(チャールズ・ロートン)はサディスティックなまでに非情な男で、部下を絶対服従させることに生きがいを見出しているような人物だ。何をするかと云えば鞭打ちの刑、手枷足枷をして船底に閉じ込め水も与えないのは序の口、死んだ部下にまで鞭打ちをするという異常さだ。 大嵐の中で態度が生意気だと言う理由でマストのてっぺんに登らせられる下級士官、船員たちに人望がある一等航海士クリスチャン(クラーク・ゲーブル)は彼の身を案じ、助け下ろして船医に診せ介護する。 「誰が下ろせと命じた? すぐに元に戻せ」 と、ブライはクリスチャンに向かって怒鳴る。そして事ある毎にクリスをいびる。 船長の私刑でまた一人犠牲者が出た。我慢に我慢を重ねてきたクリスチャンは遂に叛乱を起こしブライ船長以下船長派をボートに乗せて海に追放、船を乗っ取る。 だが、その段階で彼らの運命は決まっていた。英国軍に見つかれば死刑、二度と故国には戻れないのだ。 ブライはクリスチャンを絶対に見つけ、クビに縄をかけてやると飽くなき執念で生き抜き、新しい軍艦で彼の所在を追い求める。そして・・・。 この映画で見せたロートンの演技たるやすさまじいものがあった。 彼は1899年6月1日、イギリスのヨークシャー州スカーボロで生まれた。父はロバート・ロートン、母はエリザベス・コンロン。王立演劇学校で学び、金メダルを得ている。 1926年、初舞台を踏む。1928年の劇『アリバイ』において、史上初めてアガサ・クリスティの探偵エルキュール・ポワロを演じた。 1929年に「ピカデリィ」で映画デビューをする。1932年にハリウッドに招かれて以来、米国では専ら映画俳優として、英国では舞台俳優として活躍した。自身の映画会社であるメイフラワー・ピクチャー・コーポレーションを立ち上げ、1937年にはエーリッヒ・ポマーを招いた。 1933年の「ヘンリー八世の私生活」(日本劇場未公開、DVD発売)ではアカデミー賞男優賞を獲得。また史実に名高いバウンティ号の叛乱事件を扱った1935年の大作映画「南海征服(戦艦バウンティ号の叛乱)」では、艦長ウィリアム・プライ役でサディスティックな人間像を見せた。 ヘンリー八世の私生活狩人の夜 1950年に米国市民になった。1955年に「狩人の夜」で映画監督デビューを果たすが、公開当時は不評であった。結局ロートンの監督作品はこの1本だけに留まった。その後は再び俳優としての活動に専念した。 その他、彼の出演作品には、「情婦」「スパルタカス」「人生模様」「ノートルダムのせむし男」などがある。特にビリー・ワイルダーのサスペンス映画「情婦」のラストシーンは見ものだ。映画史に残る傑作と云えるだろう。 『狩人の夜』(1955年)に主演したロバート・ミッチャムは、ロートンは最も素晴らしい映画監督だと褒め称えた。また、ロートンは素晴らしい舞台監督でもあった。例えばジョージ・バーナード・ショーのオリジナル劇『地獄のドン・ファン』のブロードウエイ初演(彼も演じていた)なども高く評価された。英国の新作舞台劇をブロードウエイに紹介した役割は非常に大きい。 ロートンは子供がとても嫌いであった。「狩人の夜」(1955年)では、子供の扱いを軽視した。子供の登場シーンはほとんどロバート・ミッチャムが演出していた。ミッチャムは3人の子持ちであったからである。 女優のモーリン・オハラは18歳の時にロートンに見出された。ロートンの死後、彼の回顧録を執筆したロートンの未亡人エルザ・ランチェスターによると、彼はホモセクシャルのため子供を持たなかったという。しかしながら、女優のモーリン・オハラによると、ロートンはゲイではなく、子供を持たなかったことを後悔していたという。 オハラはまた、子供ができなかったのは、エルザがバーレスクを演じていた頃、堕胎を経験したからだとロートンが語ったと言っている。エルザ自身が堕胎(当時は非合法であった)の経験があると語っているが、それが原因で子供が持てなかったのかどうかについては語っていない。 彼は戦前戦後を通してイギリスの舞台俳優らしい演技を全うし、1962年12月15日に死去した。 私生活では結婚はエルザ・ランチェスター只一人だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.04.14 12:28:19
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