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カテゴリ:アメリカ ・ スペクタクル
「シルバー世代の映画雑感」
【中古】美品! 風と共に去りぬ 前編DVD/洋画ドラマ まずはこの名作をどうぞ。 「風と共に去りぬ」は永遠の名作だ。クラーク・ゲーブルとヴィヴィアン・リーの名演がこの作品を不朽の映画に仕上げている。 不敵に笑う男、レット・バトラー、彼こそがスカーレットを強く大きな愛で包んでくれる男だったのだが・・・。 一大ベストセラー、マーガレット・ミッチェルの「風と共に去りぬ」を3年の歳月と製作費600万ドル(当時)を投じて映画化した大作。 "暴君”セルズニックだからこそ作り得た大作。脚本家を17人も動員し、監督も途中交代させ、すべてに完全主義を貫いた本作。 <ストーリー> 南北戦争が始まる直前のジョージア州アトランタ。ここが大作の舞台である。大きな時計に箴言が書かれている。 時間をムダにするな 人生は時間の積み重ねだから ここタラの一画にある大農園主の娘スカーレット・オハラ(ヴィヴィアン・リー)は勝気な性格で、幼馴染のアシュレー(レスリー・ハワード)を熱愛し、結婚するものと決め込んでいた。園遊会に出かけるため、召使のマミーにウエストを締め上げるように命じるスカーレット。娘時代のスカーレットのウエストは約47センチだったという。 アシュレーが結婚する相手はいとこのメラニー(オリヴィア・デ・ハビラント)だった。彼女はアシュレーに会う。 「アシュレー、愛してる」 「スカーレット・・・」 「心の底からよ。私と結婚したくないの?」 「メラニーと結婚する」 「私を愛しているのに?」 「分ってくれ、君は結婚を理解していない」 「メラニーなんか愛してないくせに」 「僕とメラニーは似ている。互いに理解しあえるんだ」 「ウソつき!(アシュレーの頬にビンタを張る)」 アシュレー、憮然として去る。 スカーレット、置いてあった陶器を投げつける。 「おっと、危ないな」 レット・バトラー(クラーク・ゲーブル)が顔を覘かせる。 スカーレットは、当てつけで愛してもいないメラニーの兄チャールズと結婚式を挙げる。ところが始まった戦争でチャールズは戦死、スカーレットはたちまち未亡人になってしまう。 アトランタ陸軍病院の大バザー舞踏会に彼女は喪服で臆面もなくメラニーと出席、バザーの手伝いということだが、本音はダンスだ。 余興でダンスの相手を競り落とすことになり、レット・バトラーはハミルトン夫人を150ドルの大金で落とす。 「ハミルトン夫人は喪中です」 「ハミルトン夫人と踊りたい」 「他にいるでしょう、アトランタ美人が・・・」 「お受けします!」 スカーレットの凛とした声ーー。 仰天する一同。 喪服のスカーレットを恭しく迎えるレット。この場面ではダンスが苦手なゲーブルは踊ることが出来ず、回転する板の上に乗せられてダンスシーンを撮ったそうである。 踊りながらレットはスカーレットに云う。 「アシュレーに云った言葉を云ってくれないか、愛していると」 「そんなこと、云うもんですか」 戦局は次第に南軍の旗色が悪くなってきた。明らかに敗色濃厚だ。アトランタの人々は祈り続けた。祈るしかなかったのだ。 アトランタ市街地は一面負傷者の野戦病院となった。メラニーは虚弱な体質も省みず献身的な看護をする。 「誰もがアシュレーに見える」 とメラニーは云う。 負傷兵で埋め尽くされたアトランタの町。このシーンには数千人のエキストラが必要だったが、集まったのは僅か500人だった。不足分は人形で補ったそうである。 「北軍来る」の報に人々は争うように町を逃げ出す。スカーレットも町を後にしょうとするが、産気づいたメラニーを放っておけない。医者も負傷者の救護で忙しく、来てくれない。 彼女は黒人奴隷少女プリシラを助手にメラニーから赤子を取り上げる。だが、北軍は目前に迫っていた。 アトランタの町は早くも火の海。スカーレットはプリシラにレットを呼びに行かせる。 レットは馬車で来てくれた。 「目的地は?」 「タラに帰るの」 「病人と赤ん坊、頭の弱い黒人を連れて敵陣を突っ切るのか」 「歩いてもいい、帰りたいの!」 猛火のアトランタを脱出する。このシーンは迫力満点だ。「キング・コング」で使われた巨大な門のセットに5000ガロンの油をかけて、7台のテクニカラー・カメラで撮影された。万一に備えて、300人の消防隊が出動したそうである。 真っ赤に染まる空を背景に馬車が止まる。 「どうしたの?」 「俺は降りる。軍隊へ入る。南部の最後を見届けるつもりだ」 「負けると分っているのに何故?」 「自分でも分らない。下りろ、別れの挨拶をしたい」 スカーレットを強引に抱き下ろし、抱きしめる。 「スカーレット、俺を見ろ。俺たちは似ている。利己的だが自分を主張する強さをもっている。こんなに愛した女は初めてだ、こんなに辛抱強く待ったのもだ」 「離してよ」 「お前を愛する南部の兵士だ。腕の感触、キスの思い出を励みにしたい。一度でいいから、キスしてくれ」 強引にキスするバトラー。 スカーレットは一人で馬車を引き、タラの邸に戻ってきた。疲弊したタラの生家へ。マミーと従僕が迎える。だが、母は前日に死亡、父は気ガ触れていた。金もない、食べ物もない、そんな中で家族の全生活がスカーレットの肩にのしかかってきたのだ。 やがて、アシュレーが戦地から戻ってきた。タラの土地の税金300ドルが大きな重荷になっていた。だが、アシュレーにも金はない。スカーレットは北軍の捕虜になっているレットを訪ねる。しかし、魂胆を簡単に見透かされてしまう。 その帰り、彼女は妹のエスレンの婚約者と出会う。彼が建築景気で1000ドルもの金を溜め込んでいることを知ったスカーレットは妹の婚約者フランク・ケネディに「妹は近所の人と結婚する」ウソをついてまで横取りし、結婚していまうのだ。呆れ顔でスカーレットを見るマミーの顔が印象的だ。 悲嘆にくれる妹を歯牙にもかけないスカーレットの冷淡さには恐れ入る。そして税金分の小切手をフランクに書かせる。彼女は経営する製材所へ行くため貧民街を馬車で突っ切ろうとし、危ないところを元使用人のサムに助けられる。アシュレーとフランクは貧民街焼き討ちの秘密の会合に出席、襲撃実行し危ないところをレットの機転に救われるが、フランクは死ぬ。 レットはスカーレットに結婚を申し込む。 「亭主が死ぬのを待つのはもう飽きた。結婚してくれ」 云うやいなや強引なキス。 「気絶するかと思ったわ」 「フランクやアシュレーとは違うぞ。結婚すると言え」 「するわ」 彼女はバトラー夫人になる。 歳月が経過、二人の間に愛嬢ポニーが生まれた。だが、それでもアシュレーへの未練は断ち切れなかった。 手鏡のアシュレーの写真を見ているスカーレット、やって来たレットに見られる。 「かわいそうな女性だ」 「私が?」 「そうだ、幸福を自分で投げ捨て、不幸を追い求めてるんだ」 「何のこと?」 「アシュレーを手に入れたら幸せになれると思うか?お前にはあの男を理解できん。お前に理解できるのは金だけだ」 レットとスカーレットを結んでいた唯一の絆、ポニーが落馬事故で死亡。病気の床にあったメラニーは愛息を残して死去、スカーレットに息子とアシュレーを頼むと言い残して逝った。 「先妻のお許しが出たか。俺と離婚してアシュレーと暮らせるな」 「違うわ、別れるなんてイヤ!愛しているのはあなたよ」 「遅すぎたよ、お別れだ」 レットとの生活は破綻、レットは彼女の前から消えた。そのとき、初めてスカーレットはレットを愛していることに気づくのだが、すでに手遅れだった。 ラストシーンが強く印象に残る。全てを失ったスカーレットは、タラの大地と共に力強く生きる決意をするのだ。 ヒロインのスカーレットは桁外れの女だ。わがままでも何でも自分を貫き通すタイプであろうか。自由奔放なレットでさえ軽くあしらえない気品高き女性である。 スカーレットの波乱万丈の生き方をとおして、女性の立場からアメリカン・スピリットを謳い上げた点に時代を越えて輝く作品の原点があると云えよう。 <トピック> 2年以上を費やした”スカーレット探し” 製作者セルズニックが理想の”スカーレット女優と出会うまでに費やした時間は実に2年に上った。アトランタで行なわれたオーディションには500人もの”自称スカーレットが殺到した。キャサリン・ヘプバーン、ベティ・デイヴィス、ジョーン・クロフォードなど、数多くの大物女優が候補に挙がっては消えていった。 ヘップバーンは「ゲーブルが10年も追い続ける女には見えない」という理由で落選。デイヴィスと専属契約を結んでいたワーナーは、同社の看板スター、エロール・フリンをバトラー役にするならデイヴィスを貸すと提案したが、セルズニックはノーと答えた。 そして、カメラテストでポーレット・ゴダードが最有力候補となった直後、運命の女神はヴィヴィアン・リーに微笑んだのである。彼女はアトランタ炎上のシーンの撮影が終りかけていたスタジオに偶然見学に来ていた新人女優だったのである、38年12月10日のことだった。 衣装デザイナーは5500着もの衣装を作った スカーレットの衣装は19世紀半ばの南部美人のシンボルである。細いウエストを強調するデザインを基本に、何不自由ない娘時代にはロマンティックなオーガンジーやチュール、強く生き抜くことを決意してからは重いベルベットを素材として使った。 なかでも、落ちぶれた様子をレットに見られたくないスカーレットがカーテンで作らせた「カーテン・ドレス」は、スカーレットの心境が表現された印象に残る1着である。 1939年製作 アメリカ・カラー 監督 ヴィクター・フレミング 出演 クラーク・ゲーブル ヴィヴィアン・リー レスリー・ハワード オリヴィア・デ・ハヴィランド スカーレットを演じたヴィヴィアン・リーのことをお知りになりたい方は↓ http://plaza.rakuten.co.jp/chokosan/diary/200907280000/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.01.03 14:15:41
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