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シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

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西部劇の面白さはこれに尽きる。ジョン・フォード監督の名声を不動のものにし、ジョン・ウエィンを一躍スターたらしめた不朽の名作、「駅馬車」。



映画の背景になるメサ(台地)、モニュメント・ヴァレーの1大パノラマ、その中を1台の駅馬車が疾駆する。軽快な主題曲「淋しい草原に埋めないで」に乗せて・・・。

私など、もうこれだけで胸がワクワクしてくる。


ストーリー

開巻、一通の電信が入る。文面は途切れ、最初の一語だけ。ジェロニモ・・・。インディアンの蜂起だ。劈頭から緊張した画面に引き込む巧みさ。

アパッチ蜂起の知らせの中、アリゾナのトントからニューメキシコのローズバーグに向けて1台の駅馬車が出発する。

それぞれ個性溢れる乗客たち、酒場女ということで町の夫人会に追い出されるダラス(クレア・トレヴァ)、酔いどれ医者(トーマス・ミッチェル)、ウイスキー商人、賭博師(ジョン・キャラダイン)、守備隊の夫を訪ねてきた身重の夫人ルーシー(ルイーズ・ブラット)。それに町の出口で待っていた銀行の頭取。後は護衛の保安官カーリー(ジョージ・バンクロフト)と馭者のバック一行だ。

人物ひとりずつの説明が手際よくなされて行く。馭者のバックはアパッチ蜂起の噂やリンゴ脱獄の報せを聞いて躊躇するが、カーリーに無理やり馭者台に放り上げられる。騎兵隊の護衛のもと、駅馬車は出発する。

軽快なメロディに乗って駅馬車はモニュメントバレーの荒野を走る、走る、走る。

保安官は頭取のことをしきりに訝る。「頭取はどうして電報をーー線は切れてる筈なのに」と。


「止まれ! 保安官が護衛とはな、ローズバーグまでか」

片手でウインチェスターをクルッとまわし、リンゴ・キッド(ジョン・ウェイン)が立ちふさがる。保安官のカーリーはリンゴに手錠をかけ、馬車に乗せてやる。駅馬車は再び走り出す。

やがて馬車は宿駅に到着。全員、下車して軽食を取る。皆から白い目を向けられるダラス。リンゴだけがダラスに優しさを見せる。駅馬車は出発。

身重のルーシーをしきりに気遣う賭博師ハットフィールド。酔いどれ医者はウイスキーに目をつけ、味見と称してやたらに飲む。銀行家は鞄をヒザに置いて抱え込んでいる。

やがて次の宿駅アパッチウエルズに到着。ルーシーの具合がおかしい。産気づいたのだ。止む無くここで足止めになる。そして酔いどれ医者の出番だ。一同寄ってたかってコーヒーを飲ませ、挙句は頭から水をぶっかける。

ダラスはルーシーに付ききりで世話を焼く。赤ん坊の泣き声が夜のしじまを破って聞こえて来た。医者に続いてダラスが赤ん坊を連れて出てくる。ワッと群がる一同。

赤ん坊を母親に戻したダラスが外へ出て行く。
気づいたリンゴが後を追う。

あなた なぜ逃げないの? 今すぐ国境を越えたほうがいいわ
ダラスがリンゴに云う。
「父と弟がプラマーたちに殺された。この気持ちは君にはわからん」
「私も子供の頃、家族を惨殺されたわ」
「女には辛かろう」
「でも、生きていかないと」
「その通りだ。ダラスさん、俺たちはお互いに同じ境遇だ。赤ん坊を抱いたあなたは・・・国境の先に牧場がある。とてもいい所だ。牧草が生い茂り、水もいい、建てかけの家もある。二人で住むには丁度いい場所だ。来ないか」
「私のことを知らないのに?」
「知ってるつもりだ。来るか?」
「やめて」
ダラス、走り去る。ダラスにはリンゴのプロポーズが信じられなかったのだ。


翌朝、密かに馬と銃を用意したダラスがキッドに脱走を勧めた。キッドもその気になり、逃げかけるが立ち止まる。後を追いかけたカーリー保安官がすかさず手錠をかける。

「逃げやしない。アレを見な」

リンゴの指差す彼方にインディアンの狼煙が上がっている。
「戦いの合図だ」とリンゴ。
猶予はない。直ちに出発。


駅馬車の行く手にかかる橋は焼かれていたが、助け合って川を無事に渡った。ローズバーグはもう少しだ。その時、アパッチの矢が駅馬車の屋根に突き立つ。襲撃だ。


脱兎の如く走る駅馬車、屋根に乗り銃を撃つリンゴ、保安官。賭博師と医者まで銃で狙い打つ。馭者が撃たれ、手綱を放す。
「リンゴ、先頭の馬だ」とカーリー。
リンゴ、馭者台から疾駆する馬に飛び移る、二度、三度飛び移り先頭馬に跨る。このシーンはスタントシーンも織り交ぜた見事なものだ。
遂に銃弾が尽きる。これまでとみた賭博師はルーシーに銃口を向ける。
と、銃口が落ちる。インディアンに撃たれたのだ。
そのとき、ラッパの音。あわや最後というときに騎兵隊がかけつけたのだった。

  
無事、目的地のローズバーグに到着、銀行家は公金横領の罪で逮捕され、リンゴはダラスに「待ってろ」と言い残してプラマー3兄弟との決闘に向かう。

残しておいた弾は3発・・・。不安そうな顔で見送るダラス。銃声が響いて!!

この決闘場面も一工夫も二工夫もされている。縁起の悪いと言われている黒猫をプラマー兄弟の前方を横切らせ、兄弟の一人が射ち損じる。

射撃の音の後、ルーク・プラマーが酒場に入ってきて・・・。

本当にラストまで楽しませてくれる一篇と言えるだろう。

リンゴとダラスの二人は物静かに仲むつまじく暮らしていくであろうと思える。



駅馬車とは?

駅馬車とは、ヨーロッパやアメリカで旅客、小荷物、郵便物を運搬する目的で、定期的に運行されていた馬車のことを言う。アメリカでは、18世紀末に東部大西洋沿岸地方で運行が始まり、その後、各地に広がった。1848年、カリフォルニアで金が発見され、ゴールド・ラッシュが起きると西部にも駅馬車が出現した。

1858年には、セントルイス~サンフランシスコ間の大陸横断馬車が開通。22日間の行程を200ドルの運賃で運んだ。やがて駅馬車は鉄道の普及により、次第に寂れ、1869年の大陸横断鉄道開通後は主要な駅馬車路線が消えて行った。現在、全米を網羅する長距離バス、グレイハウンドは駅馬車の名残といえるかもしれない。

1939年製作 アメリカ・モノクロ 監督 ジョン・フォード 出演 ジョン・ウエイン クレア・トレヴァ トーマス・ミッチェル


ジョン・ウェインのことをもっとお知りになりたい方は↓

http://plaza.rakuten.co.jp/chokosan/diary/200906200000/

http://plaza.rakuten.co.jp/chokosan/diary/200906200001/






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Last updated  2011.01.15 10:42:07
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