OVARY LODGE 2作品について検証
70年代にキース・ティペットがフランク・ペリーらと組んでいた即興ユニット、オヴァリー・ロッジについて、ロバート・フリッププロデュース1973年発表作品は以前にテーマ・70年代英国音楽で紹介しましたが、現在でも2枚の作品を混同して紹介している記事があるようなので、この機会に両作品を比較紹介したいと思います。OVARY LODGE (1973年発表、英国 RCA SF8372)ジャケット裏面前年の72年、キングクリムゾン総帥ロバート・フリップのプロデュースで、キース・ティペットが出した即興作品集ブルー・プリントに続く作品。ブルー・プリントは、当時日本盤でも発売されたが、コチラのオヴァリー・ロッジは日本未発売。70年代後半には既に高値を付けており、日本に入った枚数自体それほど多くない。演奏者が全員コンポーサーと表記されており、即興だがあくまでも作曲だよという意思表示がされている。Side One1, FIRST BORN (Tippett/Babbington/Perry)2, MOUNTAIN TEMPLE IN SPRING Part 1: AMETHYST, GOLD AND ROYAL BLUE (My Way of Saying Thank You) (Perry) Part 2: A FRAIL WHITE BUTTERFLY, BENEATH THE SPELL OF MOON IS SLEEPING ON THE HUGE BRONZE BELL (BUSON) (Tippett/Babbington/Perry)Side Two1, TROPIC OF CAPRICORN (Tippett/Perry)2, COME ON IN (Tippett)3, NURSERY RHYME (Tippett)4, SYLPHS IN PISCES (Babbington/Perry/Tippett)ComposersKeith Tippett, Piano (Zither on Tropic of Capricorn)Roy Babbington, BassFrank Perry, Percussion (Piano Interior on Tropic of Capricorn)Produer Robert FrippMusic Engineer: Andy HendricksonCut by Arum ChakravertyPhotographer: Andy BurnsThe Sounds are acoustic, no electronics are involved. Robert Fripp現在は復刻CDで入手も容易くなっているが、あくまでもフリーミュージックなので御注意を。ちなみに、かの「クリムゾン・データ・ベース」で確認した所、76年と間違えて解説しておられた。早く直さないかな?(圧倒的情報量には敬意を持っておりますので、喧嘩を売っているわけじゃありませんw誤解なき様)==============続いて1976年発表の作品をOVARY LODGE (1976年発表 英国 OGUN OG 600)ベースがOGUN創始者のハリー・ミラーに替わり、キースの奥さんジュリーも加えカルテットになっている。各担当は写真をご覧ください。 Side OneGentle One Says Hello (14.00)Fragment No.6 (8.45)Side TwoA Man Carrying A Drop Of Water On A Leaf Through A Thunderstorm (5.10)Communal Travel (17.40)Coda (1.00)Live recording at Nettlefold Hall, London SE27, 6 August 1975 by Keith Beal.Produced and Album mixed and edited by Keith Beal and Ovary Lodge.All music composed by Ovary Lodge. この作品を称して73年のRCA盤の再発と勘違いした紹介を書いている評論家もいたが、聞いていないのがバレますねw キースらメンバーに失礼です。こちらは70年代後半から80年代にかけて、輸入盤店で割りと見掛ける事が多かったのですが、現在ではCD化もされているようです。ただしアマゾンには無い模様なので入手しようとするとdiskunionのJAZZ館あたりがいいでしょう。なぜかHMVだと76年のジャケット写真で曲目が73年の紹介になっている。アマゾンあたりでもオリジナル発表年を間違えた掲載があるので、ややこしいこの作品では掲載ミスも大いにありえる。Ovary Lodgeの原型は、センチピードと同時期にキースが試みていたキース・ティペット・トリオ(Keith Tippett-Pf, Roy Babbington-Bass, Keith Beal-Drums)だそうで、その後のギグでドラムがフランクに替わり、2週間後にはブループリントのレコーディングに入っている。故にブループリントにはキース・ベイルのフューチャーされた曲もあるそうである。その後名称が確定するまでの間には数名の演奏家を加えたいくつかのギグでWhite Lodgeと呼んでいた時期もあったそうだ。オヴァリー・ロッジ名義の作品残しロイはソフトマシーンやBBCラジオ・オーケストラの為に去り、替わりにハリー・ミラーが加わった。後にジュリーも合流し、76年のアルバムに名前を残している。余談:76年発表作のプロデュースをしているキース・ベイルはブルー・プリントだとBailey(ベイリー)とクレジットされているが、あのデレク・ベイリーと何か血縁関係でもあるのだろうか?デレク・ベイリーの作品は数枚持っているが、それほど詳しいわけでもないので不明です。