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カテゴリ:やっぱりごはんが好き!
私の「料理を作る」って行為の根幹にあるお手本。
「向田邦子の手料理」 買ったのはいったい何年前でしょうか。 ずっとずっと、一番開いた料理の本はこれかもしれないです。 さりげなくて簡単な、でもうまいものが大好き! という向田さんの おめがねにかなった一皿がいっぱいで 彼女の長いようで短かった人生をいとおしみながら、よく頁を開きます。 そのなかでもお気に入りの「海苔ごはん」。 ただ、海苔にごはんを巻いておしょうゆつけて食べる、という一皿です。 さらした白髪ネギを一緒にはさむのがミソ。 たったこれだけなんですけど、お酒の席などでは妙にうまい存在感を放ちます。 前夜にトマトシチューを作って、そのときのごはんをピラフにしたので そのあまりを使って海苔ご飯にしてみました。 ピラフといっても、ごくごくシンプルな、おかずと一緒に出すバターライス みたいなもんです。勝手に「コンピラ」と命名。 ==================== 武蔵野コンピラ (コンソメピラフ) ・いつもどおりにごはんをセットする ・お気に入りのコンソメキューブを軽く砕いて投げ入れる ・バターを一切れ乗っける ・炊き上がったらよく混ぜて、黒こしょうをたくさん入れて混ぜる。 =================== シチューとかステーキとか、1品しかおかずがない日のごはんに たまに作ります。黒こしょうが決めてですな。シンプルでうまいです。 ↑ これの残りを海苔ごはんに。 しらがネギはさらして、白ごまと合えておきます。 あとは海苔を切るだけ。 茶碗1杯程度残ったごはんも、こうすれば立派な朝ごはんになります。 向田さんはおしょうゆつけて食べちゃうそうで これもうまい! (わさびなんか入れてもさらにうまい) 私は白ごはんのときは、練り梅とかすじことか、なんかその辺に あるものをはさんだりもします。 でも、こういう洋風のシンプルなピラフも 海苔ごはんにはとってもよく合います。ねぎも合う! コンピラ海苔ご飯。うまかったぞーーーーー!!! (炊き込みごはんの残りなんかも、うまいのです!) 向田さん、まだ生きておられたら、すっごく素敵な人生の先達に なっていらしただろうなあと思います。 かっこいい女性だったなあ。 私は家庭料理のレシピ本っていうものをあまり読まないのですが 向田さんの本、そして平松洋子さんや高橋みどりさんの本にある ごはんの話が大好きです。 ごはんって、仕事や暮らしや生き様の中に、ごく普通に存在する でも本人にとってはとても大切な場所にあるもの。 決して家族のためとか健康を考えてとか、社会の定めた枠の中の 役割をまっとうするための技術じゃないんですよね。 向田さんの本には、~べき みたいなきれいごとは何もありません。 でも、友人が風邪を引いて寝込んだと聞けば、スープを煮て ごはんをラップでたくさん包んで、玄関の扉にかけて帰ってきたりします。 すっごく忙しい合間を縫って でも「食べる」という本能が正しいことをする。 そして、これらの人たちに共通しているのは ごはんを食べる、つくる ということは 食器と出会う、選ぶ、いとおしむ ということにも深くつながっており (つまり、きちんとした文化とちゃんと関わっている) しっかりと自分の仕事や暮らしに軸足を置きながら 調味料や素材との出会いを求めて、広い場所を見渡せる目があること。 彼女たちのごはんには家族幻想や、正しい暮らしの幻想みたいな正論がない分 その人の生き様そのものが現れてくる。 そんな風にごはんとかかわりあいたいと思います。 正論なんかじゃない場所で勝負できる人間に、私もなりたいなあ、と思います。 海苔ごはんで、そんなことを考えた一日でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008年06月26日 09時01分26秒
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