大崩山から鹿納坊主
この写真は、7月5日に大崩山(おおくえやま;宮崎県)から鹿納山に縦走した時のもの。一番大きな岩峰が鹿納山で、鹿納坊主とも呼ばれている。裏側から頂上に立てる。標高1567m。大崩山は祖母・傾山と稜線がつながっていて九州でも屈指の縦走コースである。大崩から行くと傾山までに、鹿納山、五葉岳、夏木山、新百姓山などがある。今回は大崩から鹿納山までを日帰りで歩いた。湧塚コースで大崩に登り鹿納山に向けて縦走、祝子川の三里河原を経て山荘に戻る計画としたが、大崩から鹿納山はガイドブックではヤブとの記載。また、三里河原付近は昨年の水害で道が不明瞭との地元情報もあり、臨機応変の対応を前提に臨んだ。延岡から祝子(ほうり)川に沿って車で入り、林道終点から30分ほど歩いた所にある大崩山荘に前夜泊して登山した。5:10山荘を出発。祝子川の河原の石は他の沢と比べるとどれも桁違いに大きく、別世界に来たような気がする。鉄パイプで作られた恐ろしい橋を渡って湧塚尾根コースに入る。このルートは有名なコースでガイドも多いので詳細は省略。岩を巡って登るようにコースが付けられていて、これに拘らずに登ればもっと早く頂上に行けるだろうが、それでは大崩に来た意味がない。定石通り岩巡りして登る。隣の小積ダキの大岸壁を見ながらのコースは変化があって素晴らしい。10時頃に大崩山。頂上は景色がないので、少し手前の石塚という展望の良いところで昼食を取って、鹿納山への縦走に入る。上鹿川コースの表示があり道もはっきりしている。10分ほどで上鹿川コースが分かれるが、鹿納山へも表示があり、はっきりした道があった。下るにつれて鹿納山の岩峰がはっきり見えるようになる。1444の小こぶ付近は立派なブナの森が残り素晴らしいが、笹が枯れているのは無残だ。最低鞍部から鹿納山から続く稜線に上がる。この辺りになると背の高い笹がかぶっている。笹といっても西中国のものとは違い、細い竹のようで硬いのでヤブこぎの要領が使えない。トトロの道のように笹のトンネルをしゃがんで進む。鹿納山の手前の鞍部に13時。時間的にギリギリだが鹿納山を往復する。曇り空で祖母傾は雲の中だが、南の日隠山のピラミッドが立派だ。鞍部から三里河原への道はガイドブックにも載っているがほとんど消失しているようだ。強引に沢を下るが表示もテープもない。登りに使うのは難しそうだ。倒木が沢を覆ったり、流れが変わったような跡が次々に現れ、水害の凄まじさを感じる。三里河原も転石で大きく埋まっている。ただ、生々しい傷跡はあるが、水は清冽できれいである。また、巨木の原生林も健在で、巨大なモミの森は素晴らしい。長い長い沢沿いの道を戻り18時に山荘。車に戻ったのは18:35であった。この夜の宿は『大崩の茶屋』(0982-20-1161)という民宿。みかけは少々くたびれた感じだけど、鹿や猪肉、山菜など地の食材を使った食事、美人の湯の入湯券が付いて\5,000-は放浪人にはうれしい値段。それにも増していいのは、長年大崩の登山者の世話をし、自らも定期的に山に入って登山道の状態や大崩の自然を見つめてきた女将さんのいろんな話が楽しい。機会があったらまたお世話になりたい宿でした。