桜餅
私はすでに高校生のときから花粉症と付き合っています。あのころはよく分からず、単なる鼻炎かと思って、市販の薬局で薬を買ってはどうにか乗り越えていました。それがきちんと花粉症だと分かったのは社会人になってからです。それからはお花見も控え、自然の多いところにも行くのはなるべく避けるようになりました。だからこれまで、春は心浮かれるような季節であるにもかかわらず、憂うつでしかありませんでした。ところが加齢とともに、いろんな過ごし方があるのだと気づき始めるのです。「オレは花より団子だなぁ〜」と、テレビの開花情報を見ながらつぶやく息子。「わざわざ混雑したところに行って、花見もクソもないんじゃね?」ふむ、それはそうだろう。しかし、世の中にはそういう賑やかなところが好きな人はいっぱいいて、そこで露店とかを商う人たちは、一年分の生活費を稼ぐものなのだと諭すと、やっと納得してくれました。「じゃあさ、オレも経済を回す一員として、旨いもの食いたい」咲き誇る桜を愛でる人たちが大勢いることは認める。だが自分に必要なのは、眺めるだけで完結してしまう花ではなく、己の腹を満たしてくれる美味しいスイーツなのだ、と息子は言いました。私は久しぶりにデパ地下へ行って来ました。平日にもかかわらず、あの熱気!コロナで閉塞感を味わった人々が、春の陽気に誘われて、気も緩むし財布の紐も緩みます。化粧品のコーナーではクリニークが人気で、フレッシュマンらしき女性に、メイクのコツを伝授していました。ロクシタンの店先には、ハンドクリームやらオーデコロンの匂いをクンクン嗅いでいる若い女性の後ろ姿が何とも可愛らしい。何かお好みの一品が見つかると良いのですが。年齢を重ねたご婦人に定評があるのは、やっぱり資生堂。洗練されたマダムを相手に、親子ほど年の違いそうな美容部員が、朗らかに対応していました。こう言う活気のあるフロアは本当に居心地が良いものです。買うのは食品と決めていたので、化粧品には手を出しませんが、私のような存在は、ある意味、良き〝サクラ〟になったのでは?と思われます(笑)さて、目指すは地下の食品売り場!いや〜驚きましたよ、はい。ものすごい人・人・人!!経済がきちんと回っているのだと実感するワンシーンです。今回は本当に悩みました、どこのお店で買ったら良いのかと。まずは創業明治4年の又一庵。本店は静岡県磐田市にあり、特にきんつばで有名な和菓子店です。この時期は、桜きんつばが飛ぶように売れているのです。(春季限定)他に桜餅、うぐいす餅などがショーケースに並んでいました。次に浜松文明堂。こちらも歴史は古いのですが、もともとの長崎文明堂から横浜へ本店を移し、さらに昭和に入ってから静岡県磐田市にある工場へのれん分け(?)のような形で設立されたのが、浜松文明堂とのこと。この時期イチオシなのが、いちごカステラです。正に「春めく気分のカステラ」で、色味がピンクで本当に可愛い!もちろん期間限定なので、今が買い時です。他に〝ちゃころん〟という商品もあります。これは一般的に〝鈴カステラ〟と呼ばれるお菓子ですが、一風違うのは、静岡茶が練り込まれているせいか、色がうぐいす色をしているのです。一口サイズだし、甘さ控えめとあって、これはあとを引きます。一個二個食べただけでは止まらないので困ります(笑)そして大本命は春華堂。創業明治20年の老舗で、うなぎパイが有名です。春華堂はいつ行っても大人気!!地元民から愛されている証拠です。和菓子・洋菓子どちらも好評で、何を選んでもまず間違いはないのですが、やっぱり桜の季節なので、「季節の妙」を堪能したくなるのです。悩んだ末、春華堂に決めました!購入したのは桜餅¥162(税込み)「これ、本当におもち⁈」と思うぐらい、クレープみたいな薄い皮にこし餡が包まれています。いまどきの餡は、本当に甘さが控えられていて、昔みたいな甘ったるさがまるでないのです。巻いてある桜葉も、塩味がきいていて、きちんと主役としての存在をアピールしていました。さらに私は、二色団子も購入しました。¥162(税込み)これも春めいていて、ショーケースの中で輝いていました。桜色の団子には白餡、よもぎ団子の方には粒餡が入っていました。この彩りが何とも上品で美しい。もちろん、美味しいに決まっています。これらの美味しいスイーツは、おそらく皆さんの地元にあるデパ地下や和菓子店で、様々な工夫を凝らした商品としてショーケースに並んでいることでしょう。どうか、コロナ解禁のお祝い(?)として、季節のお菓子をお求めください。そしてご堪能ください。日本人に生まれて本当に良かったと、実感せずにはいられませんから!ちなみに上記の2点の和菓子以外に、うなぎサブレチョコ(6枚入)¥810(税込み)も購入しました。※筆頭管理人より筆者はウナギのエキスを期待したようですが、その効用や如何に⁈なお、春のお菓子でご満悦の筆者ですが、筆頭管理人へはお裾分けの一つもありませんでした、嗚呼(>_<)