「跡地づくり」だらけの大阪~なぜ、新都心や再開発の乱立に、大阪府民は賛成するのか?
大阪府と橋下知事のことを書くのが続いてしまっていて、根本的には同じ問題点を抱えたことなので、もういい加減、いちいち、指摘するのが面倒になってくるのですが、橋下知事と大阪府が、伊丹空港を廃止して、そこを「新都心」にするとの「構想」だとのことです。<空港について>空港そのものに関しては、最も利便性の高いものを最優先にすることが、「関西」「近畿」のアクセス性を高めることになる=国内外に対するポテンシャルが高まることになると思いますが、そうした議論抜きに、「"民間"の航空会社は、関空を選ばず、伊丹を選ぶから、伊丹を無くしてしまえ」というのは、いかにも「役所」または、昔ながらの固定的な計画経済を信奉するバリバリの共産主義者の考えとも言えそうです。(または、供給が需要を創出するというセイの法則の信奉者?)伊丹を廃止したら、ある程度、関空の発着が増えるだろうとは思いますが、関西・近畿全体の発着は減少することでしょう。そして、関西・近畿のアクセス性が今より低下することになり、経済競争力も長期的に失われていくことと思います。もちろん、「関空が伊丹よりも利便性が高い!!」のならそうはなりませんが、"民間"は伊丹のほうが利便性が高いから、伊丹に利用が寄ったのでしょうから。。。「民間なら」が口癖で、共産主義者大嫌いの橋下知事が、なぜ、そうした発想になるのか、わかりません。100歩譲って「24時間空港だから」ということはあるでしょうが、「24時間である」ことのメリットが関空でこれまでもどれだけ活かされているでしょう?今までも「24時間の国際空港」は関西では関空だけだったのですから、すくなくとも、夜間の発着は活発だった、、、はず、、、ということになりますが、、、都市・都市圏の機能を言うのなら、この関西・近畿がどんな機能を担うのが一番効果的か?_を考えて「投資」をすべき、、、さらに100歩譲って、関空も活かす可能性を探りつつ、関西の空港の重複・ムダをなくす、、、ということならば、すべて「市場」に任せる。つまりは、伊丹も神戸も関空もどれでも自由に選ばせる。各空港も自由に競争する、、、それこそが「自由主義経済」「資本主義」の合理性追求能力を活かすことになるのでは?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・注:関西空港ができた経緯そのものは、伊丹空港の騒音問題に端を発した、空港廃止が前提であったのですが、「埋め立て工法」と「浮体工法」でモメて、また場所も大阪湾と泉州沖でモメて、、、で、「都市の分散・拡大」を選んだものだったようです。経緯だけからすれば、「伊丹を廃止しなかったから、関空が干上がってる」という言説は正しいのですし、僕もずっと「筋論」としてそう思ってきましたが(ましてや神戸空港を新設したときは空いた口が塞がりませんでしたが、、、)、今となっては、場所の問題・都市の機能配置の問題から、3空港とも「今ある空港」として捉え、「これから」どうするか、、をクールに考えるべきかと思います。また、伊丹の場所は確かに、場合によっては、「転用」が魅力的な場所かもしれません。しかし、「新都心」、、、では、次項に述べるとおり、はなはだ非現実と思います。また、橋下知事と大阪府のプロジェクトは、どれもこれも「跡地」を大量に作りすぎ、、とも思います。単なる勉強・研究の間はそれでも別に良いのですが、現実となると実際に大きな問題になると思いますし、大阪という都市をさらに衰退させかねないと懸念します。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<新都心・副都心・再開発の乱立、過剰供給の恐れ>計画経済!!といえば、大阪府や、橋下知事、そして、大阪市と平松市長は、いったい、これから、どれだけの「新都心」「副都心」を再開発しようというのでしょう。オフィス床もすでに、ダブついているうえに、大阪市は、梅田と阿倍野で大々的な再開発による大規模な床供給を行おうとして必死なのに、、、この (1)梅田 (2)阿倍野に加えて、橋下知事と大阪府(大阪市も?)が言う「構想」が本当に実現しようと思うのなら、 (3)今回の「伊丹」 (4)WTC周りのベイエリア (これは新たなアクセス整備も不可欠 & 国の合同庁舎の移転費も誰が出す?というか移転するメリットは国はゼロでは?) (5)天満橋・大手前周辺(府庁と国の合同庁舎がゴッソリ抜けるので。一応、病院は1つ移転するとしても) (6)森之宮周辺(病院が移転して、他にも府の機関を売り払うとのこと、、、 「最後の一等地」との橋下知事のご発言もあるようで。)を、同時に、再開発して、今以上のものにしないといけなくなります。まるで、WTC周りに沸いた「不良債権のウイルス」を、広くまきちらすようです。投資効果・回収期待度の低いところへの、需要を上回る供給をもたらす「投資」をさらにしようということになるように思えます。それに、 (7)りんくうタウンも、ありましたね。。。。 <都市・産業に対するビジョン、真のポテンシャルの活用>肝心の産業構造の強化、都市経営の戦略を出さずに、こうした、耳目を引くようなことばかりが前面に出てしまっていて、大阪府は(大阪市も、、、ですよね、、、)、いったいどこへ行こうとしているのでしょうか。世界中が深刻な状態のときに、「自社ビルの移転」と「そのための大量追加投資」を、株主総会でアレコレやりまくる、、、って場合じゃないような気がしますが、、、すくなくとも、橋下知事と大阪府は、 ・大阪の街を、今よりも、分散させて拡大投資をするのか?(この40年間、大阪がしてきたこと) ・それとも、集約して、有力な資産を活かして、再生させようとするのか?大きな道筋を、もう一度、冷静になって、提示すべきと思います。橋下氏を支えるブレインの方々は、なぜ、こうしたことを直言しないのか?また、20年前・30年前に失敗したのと変わらぬ、いえ、それ以上に検討の浅い「プロジェクト」をなぜ大阪府民は支持するのか? (っていうか、支持してるのか?)本当に、橋下知事の好き嫌いとか、「抵抗勢力かどうか」とかではなく、知事ご自身も含めて、ぜひ、考えていただきたいと思います。今なら、まだ間に合います。橋下知事もまだ若く経験をこれからつもうとする政治家・行政の長なのですから、、、、