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テーマ:モータースポーツ(1598)
カテゴリ:WEC
WEC世界耐久選手権2019/20シーズン第7戦・第88回ル・マン24時間レースは、レース中盤からトップに立ったトヨタGAZOO Racingのセバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー組8号車トヨタTS050ハイブリッドがトップチェッカーを受け、トヨタが2018年の初優勝から3連覇を達成した。 トヨタ7号車TS050ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス組)は12時間経過時点まで順調にレースをリードしていたが、可夢偉のドライブ中にターボトラブルが発生し、ピットでの修復に30分近くを費やしたことで優勝争いから脱落。2019年も残り1時間のところで勝利を逃した7号車クルーにとって悲願であるル・マン制覇は、またしても達成できなかった。 2021年から新規定『ル・マン・ハイパーカー(LMH)』に移行する最高峰LMP1クラスは、トヨタの2台のハイブリッドマシンのほか、ノンハイブリッドのレベリオン・レーシング2台とバイコレス・レーシングチーム1台、計5台がエントリー。トヨタは2016年からレースに投入している「TS050ハイブリッド」最後のル・マンで、3連覇を目指して戦った。 トヨタ7号車は予選ハイパーポールで、可夢偉が自身の持つラップレコードに迫るタイムを記録しトップタイム。一方、一貴がアタックした8号車は1号車レベリオンR13(ブルーノ・セナ/ノルマン・ナト/グスタボ・メネゼス組)の後塵を拝し3番手に甘んじており、レースでは「トヨタvsノンハイブリッド勢」、そして「7号車vs8号車」という対決構図の行方に注目が集まった。 現地時間9月19日14時30分にスタートした決勝では、序盤から順当に7号車がリードを広げる一方、8号車はいきなりタイヤのパンクチャーに見舞われ14周目に緊急ピットイン。7号車優位のままレースは進んだ。 8号車トヨタはなんとか2番手まで巻き返すが、今度はブレーキの温度上昇というトラブルを抱え、ルーティンのピットストップでの対処を度々実行。そのたびにロスタイムが増えていったが、ついにセーフティカーのタイミングでマシン右フロントの冷却ダクトシステム交換を決断した。10分の作業時間を費やしながらも、SCのおかげもあり1ラップダウンで戦線に復帰する。 万事順調に進んでいたと思われたトヨタ7号車が思わぬ事態に見舞われたのは、スタートから12時間が経過した直後の深夜2時半すぎ。エンジン右サイドのターボにトラブルが生じ、これを交換するためにガレージへと入れられたのだ。コクピットのなかで、可夢偉は絶望に襲われたような表情を見せた。 この修復には30分近くを要し、7号車は7周おくれの4番手へと一気に後退。さらに朝になってデブリにヒットしたことでフロアにダメージを抱えてしまうが、修復には時間がかかりすぎることから、そのまま走行せざるを得なかった。 7号車の脱落によりトップに立った8号車陣営においては、なんとしてもトヨタの3連覇を守るという使命が色濃くなった。 7号車同様のトラブルなども心配されたが、その後はとくにトラブルなく走り切り、中嶋一貴の手によってトップチェッカーを受け、ル・マン3連勝を達成している。 2番手争いは残り6時間でトラブルのため3番手に後退した1号車レベリオンR13が、3時間ほどかけて僚友の3号車に追いつき逆転を果たし、2位の座を得ている。3号車レベリオンは残り1時間のところでガレージに入れられ、表彰台圏外に転落。トヨタ7号車が3位に入った。 序盤のうちにパンクに見舞われたた8号車はまた、ブレーキ温度が上昇するトラブルを抱えてガレージインするなど、波乱万丈の戦いとなった。 「疲れすぎて頭が回っていませんが(笑)」という一貴は、レースを次のように振り返る。 「まずパンクがあり、そのあともスローゾーンとかセーフティカーとか、いろいろなタイミングがなかなか噛み合わなくて、厳しいスタートでした」 「スタートからずっと、ブレーキキャリパーの温度が高すぎるという問題があって、ブレンドンのスティントまでは(ハイブリッドの)システムでごまかしながら走ってたんですけど、どうしてもクルマのバランスにまで影響することがあったので、僕に代わってちょうどSCが長時間入ったタイミングで、ブレーキのクーリングを直すという決断をしました」 「そこで1ラップダウンになってしまったので、そこからは優勝どうのこうのというよりは、最後まで走りきって最低限ワン・ツーをとるという気持ちでいました」 そんななか、7号車TS050ハイブリッドにトラブルが発生したことで、夜中には首位に立つこととなった。 「そこからのレースは正直、長かったですね。トヨタとして3連覇するというのは、絶対に成し遂げなければいけないターゲットだったので」 幸い、ブレーキダクトを修復してからはマシンバランスは良好で、最後までパフォーマンスを保つことができたという。 「3連覇というのは結果としてついてきたものだと思います。そこに至るまでは本当に運とか巡り合わせみたいなものがいろいろあって……。ただ今回は自分たちとしてもすごくいいレースができたと思うので、そこに関してはすごくハッピー。その結果の優勝なので、素直に喜びたいと思います」 喜びを感じると同時に、2019年と同じく途中までトップに立っていた7号車を気に掛ける気持ちも、一貴の中では大きいようだ。 「今回のレースは途中からすごくクルマがいい状態で戦うことができましたけど、その点は7号車の予選までのセットアップだとか、いろいろと参考にさせてもらった部分もあるので、チーム全体に感謝したいと思いますし、チームとして一緒に勝ち取ったものだと思っています」 2年連続のWEC個人タイトルに向けて 最終戦を戦う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.09.21 22:38:57
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