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テーマ:真空管アンプを作ろう!(897)
カテゴリ:自作真空管アンプ
今回は技術的な内容の日記です。
ディープな雰囲気ですので、スルーして頂いても構いません。 皆さんは、『真空管』とゆーモノをご存知でしょうか? 半導体が躍進する前は、真空管が通信や放送、民生機器、軍事面で使われてました。 1960年頃が真空管の全盛期です。 ただ、形状が大きい、効率が悪い、寿命が短い、 動作中は200℃くらいにバルブが熱くなる・・等の理由で、現在は殆ど使われていません。 現在での活躍の場は、特殊な軍事用途か電子レンジ、ロマン溢れる真空管アンプくらいでしょう。 私もそのロマンに魅せられ、真空管を擁護する一人になってしまった^^; 電源を入れるとヒータ(又はフィラメント)が点灯し、ガラスの中は不思議な電極がある。 簡単な回路の割りに、意外と良い音を鳴らす・・。 もう20年くらいずっと、自作した真空管アンプで音楽を聴いている。 今の我が家のリビングでは、2E22という軍用にも使われた真空管のアンプ。 妖艶な音色を奏でてくれるから、すっかりメイン・アンプになってしまった☆ 何時ものごとく、ウィスキーを飲みながらクラシックを聴いていた時のこと。 突然右のスピーカーから、音が出なくなってしまったのだ! 右チャネルの真空管アンプに目をやると、出力管の2E22のフィラメントが点灯してない!! あ~ぁ、出力管がイッっちまったかぁ(T_T) その真空管を抜いて、テスターでフィラメントの導通を確認するとやっぱ断線。 フィラメントが断線してしまった真空管は、もうお手上げである。 この出力管、おフランス製でクリアー・バルブで気に入ってたのにな・・。 真空管アンプで真っ先に死ぬのは出力管だから、そんなに落ち込んでないバッカス。 仕方ない、予備の2E22を引っ張り出すか。 予備のもおフランスだが、 バルブがカーボン・スートされてて中の電極がよく見えないのが玉に瑕。 性能と音質は、カーボン・スートされている方が上との評価も聞くが、 スケスケのほうが見た目色気があって個人的には好きだ。 とは言っても音楽聴けないのは悲しいので、球を早速交換することに。 右の黒いのが、これから換装されるRT製2E22↓ 私が設計する多極管アンプは、出力段が固定バイアスでスクリーン・グリッド電源は、 ローノイズの可変定電圧電源を搭載している。 多極管はバラツキが大きいから、ある程度のバイアス、 スクリーン・グリッド電圧の調整が必要となってしまう。 同じ型番の真空管でも、ちゃんと調整して性能をいかんなく発揮させるつもりだ。 (差し替えただけでも音はちゃんと出るが・・) 左右両チャネルの出力段は、プレート電圧が同じ状態でプレート電流・バイアスが揃うよう、 スクリーン・グリッド電圧を微調整するのがバッカス流。 相互コンダクタンスを揃えるとでも言うか。 スクリーン・グリッド電圧のチャネル偏差が±2%以外だと、予備の真空管を応援に呼ぶ。 2E22はスクリーン・グリッド電極があるので、この電圧調整が必要だ。 この辺のめんどっちさが、多極管が敬遠される一つの要因だろう。 予備の2E22を右チャネルのアンプに換装し、各部電圧と電流を素早くチェック。 特にフィラメント定電流回路は、入念にチェック! この部分は2E22の動作の心臓部であり、寿命も左右するからだ。 設計値と電圧や電流に大差なければ、そのまま15分くらいウォーミング・アップさせる。 各部の調整はそれから。 続いて左チャネルも同様に行う。 PC上の設計図を見ながら調整中の様子↓ 各部電圧は製作当時のデータとほぼ同じなので、部品の劣化はなさそう。 定電流回路も正常動作で一安心(^^♪ フィラメントが定格電圧で安定させたころで、出力段のバイアス電圧と電流、 スクリーン・グリッド電圧を調整。 左右2台で1時間ほど要した。 RTのは6本組みで購入した真空管なので、バラツキは殆ど無い。 同一プレート電圧、スクリーン・グリッド電圧、バイアスでのプレート電流の偏差は 1mA程度とエリートクラス。 シングル・アンプに使うのは勿体無いな。 調整後はラックに戻して作業完了。 1時間のウォーミング・アップを経て、いよいよ音出し。 この瞬間が楽しくもあり緊張するもんだ♪ ヴォーカルは艶やかで張りもあり、伸びやかに聴こえる。 シャンソンやカンツォーネは堪んなく色っぽい☆ ヴァイオリンやサキソフォンの音色を聴いていると、透明感で心が浄化される感じだ。 音色の厚みは2A3には適わないが、2E22の特徴がよく出ていると思う。 カーボン・スートの影響からか、静寂感はRTの方が上のようにも感じられる。 天は二物を与えず・・か。 取り敢えずは問題なく復旧できたので、また音楽を楽しむとしよう(^^) 近いうちにバラでも構わないから、クリア・バルブを探さないと。 こんなにも特性の揃った真空管、シングル・アンプで使うのは惜しい気がする。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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