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カテゴリ:演劇、観劇
44プロデュース公演、中島淳彦・戦中戦後三部作『フツーの生活』沖縄編の千穐楽。
この23日は、沖縄慰霊の日でした。 ニュースでは一日中そのことを伝えていました。 沖縄の人々にとっては、その日から何も変わっていないこと、そしてその前に受けた苦しみを忘れてはならないことを痛感したのでした。 さて、舞台を見上げると、人が通れるほどの隙間から明るい光が射し込んでいます。 戦中の、沖縄の言葉で言うガマ(自然洞窟)の内側が舞台。 観客はガマの中にいるような錯覚を起こしながら、ここに避難する人々の生活を息を飲んで見守ります。 日本で唯一地上戦が行われた地、沖縄。 米兵の上陸、ガマの外に聞こえる爆撃音、そして足音。 避難する人々には情報も届かず、銃を突き付けられた市民はいったいどうすれば良ったのでしょうか。 ガマの中、閉ざされた世界で一緒に不安を味わいながら、思案を巡らせました。 ここにいる人々は、銃を向けられ、英語で話かけられた時、言葉の意味がわからずに身を縮めるか、威嚇して叫ぶことしかできませんでした。 外にいる米兵には、中にいるのが日本兵か市民の区別もつかず…手榴弾を投げ込まれて終わりです。 そう、ここで物語は終わってしまいました。 この物語はフィクションですが、同じような目に遭った人々がどれほどいたことでしょう。 同時にナレーションが、ガマから出て捕虜となった人々について語ります。 それらの人々は助かったそうですが、そこでどんな生活があったのかはわかりません。 演劇は、実際の再現ではありませんが、その一端を追体験することにより、登場人物の置かれた状況と感情を推し測ることができます。 忘れてはならない、繰り返してはならない出来事が、この舞台にはありました。 沖縄の人々にとってのフツーの生活とは。 戦後65年経って、果たして日本の考え方は変わったのでしょうか? 現実のいつまでも解決しない論争を見るにつけ、不安が募りました。 作・演出・中島淳彦 ※公演の詳細は、公式サイトで。 (紀伊國屋ホールにて) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.07.12 23:12:55
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