6月歌舞伎鑑賞教室『神霊矢口渡』(6/1-24)
3月の歌舞伎鑑賞教室歌舞伎へのいざない以来の鑑賞教室です。いつも楽しみにしているのは、19時開演となる「社会人のための・・・」で、この6月は13日と21日になります。会社の帰りに充分間に合う時間帯、そしてチケットの価格も魅力的。1、2階席は1等・3,800円、そして3階席の2等は1,500円。解説の後、休憩をはさんで有名な一幕が上演されます。まず、本日解説を務める坂東亀寿が、回る舞台の上を、上下するセリに乗って颯爽と登場します。雷鳴のように賑やかな音、そしてこのダイナミックな仕掛けは、どこかで見たような・・・今年1月にこの劇場で、尾上菊五郎が風雲に乗って堂々とした姿を見せた通し狂言『小町村芝居正月』での一場面でした。セリと回り舞台だけで、こんなにも幻想的な演出ができるのかと、改めて感心しました。そして客席から選ばれた観客が二人、女方の歩き方、雷鳴や雪を表す大きな太鼓を打ち鳴らすなどの実演を行い、最後はセットの船に乗って花道を行くという、貴重な体験をして解説の亀寿とともに幕の向こうに消えて行きました。そして次なる解説者は平賀源内(に扮した俳優)。「土用の丑の日」に鰻を食べる習慣も源内の発想によるものなら、今月の演目『心霊矢口渡』も彼の筆によるものです。作者の福内鬼外とは、源内のペンネームなのだそうです。そんな源内の作品は、「頓兵衛住家の場」一幕ではありますが見所が満載。先程解説してくれた亀寿は、見目麗しい美男子の役そのままに毅然とした二枚目の新田義峰として登場。2006年12月に菊之助が初役で演じたお舟という田舎の純粋で真っすぐな心の娘には片岡孝太郎が扮し、複雑な娘心の胸の内を情緒豊かに見せてくれました。孝太郎のお舟、じっくりと心に刻まれるような感動がありました。今回の舞台では、義太夫の語りが字幕で表示されるなど、短時間に歌舞伎の作品の構造を知ることができるようになっています。※公演詳細は国立劇場のサイトで。(国立劇場 大劇場にて)