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カテゴリ: マンガ
(3巻しか画像がないので貼ってみた。)
完結です。 でもって、最後が最後なので、 ネタバレ無しには語れません。 なので、今回はネタバレ全開です。 コレを読んでから本編を読むと非常に面白くない可能性があります。 ご注意ください。 --------------------------------------------- なんちゅー悲惨な話なんだ、と。 どこまでこの子たちは不幸になったらいいんだ、と。 そんなことを考えて読み進める4巻5巻でした。 いやしかし、びっくりしたのは、 ここでいきなりSFになったことです。 それまで神秘的な描き方で、鬼に食われていた美しく儚い『神』という生き物は、 『異星のテクノロジーで作られた人間(?)』だったというびっくり設定ですよ。 『神の力』とはすなわち異星のテクノロジーで、 科学者たちがそれを使って楽しみのために生み出したのが『神』。 で、たまーに地球の日本に解き放っては『神』と名乗らせて楽しんでいた・・・とか、 えーー、そんなことを想像させる場面がどこにありましたか。いやはやびっくりびっくり。 艮が死んで、ぼろぼろになっていく正人。(と、なお。) 読者視点でのみわかる現状として、ひょっこり生き返った艮に万歳したものの、 実は生きていた正人の父は今度こそゴールドの手によって死亡。 可愛かった火の子ちゃんも死亡で、彼女が最後に助けた正人は大ピンチで、 ここにきてついになおちゃんも・・・・死亡。。。 情報屋も最後の最後で好感をあげて、、、死亡・・・。。。 ゴールドと正人を追って扉だらけの『神の国』に入った艮に、 そこで出会った『出来損ない』の少女の願い通りに世界を破壊する正人。 そして、そんな正人と艮のようやくの再開。 やったね!!と思ったら、・・・・あっけない正人の死。。。 瀕死の少女の途切れ途切れの言葉により、 扉の中にたった一つだけ「過去」へと戻る扉があることを知る艮。 探しても間に合わないぜとか思ったらあっさり目の前に発見し、 世界の崩壊ぎりぎりのところで脱出することが出来ました。 艮が戻った「過去」は、 艮が正人の姉を殺そうとする瞬間。 そして「戻ってきた」彼は、彼女を殺さずに立ち去るという選択をするのです。 ここで正人の姉を殺したから、 正人となおと暮らす生活になったわけで。 そのまま立ち去り、父であるゴールドをあっさり殺し、 兄の助力も受けて一族の長になる艮。 (そうか、この時点では神や狂い咲きをそれほど喰っていないから、 後のゴールドほどのキモヤバイ 書き換えられた世界では、 死んでいった人たちは生きていて、それぞれの生活を送っていて、 それはもちろん正人やなおちゃんたちもで。 この子たちはもう鬼とも死とも関係のないところに居て、艮は鬼の長として生きていて。 彼らの道は、もう交わらない。一瞬すれ違うだけで精一杯。 なんて、切ないんだろうね。。。。。。 こうなるしかなかったとしても、やっぱりとても悲しくて切ない。 「もうひとつの現実」を知らない彼らは、今を幸せに生きている。 けれども、その幸せな日々は「もうひとつの現実」を生きていたころの彼らの願った幸せとは別物で。 3人が3人で幸せに暮らしていた、あんなに大事にしていた日々は、 壊れてからあんなに願った3人の生活は、今は無くて。 無いことにも気づかずに、幸せに生きていて・・・ ただの読み手は、とってもやるせないですよ。 全てを知らない彼らと、 もう一つの生活を全て覚えて、それで一人歩いていく艮。 彼の愛した正人は、彼の生きた世界で確かに死んでいる。 だから「現在」の正人を艮は彼の愛した「正人」とは別人なのだろう。 だから彼は、この先の世界で一人胸の中の正人を大事に思い続けるのだろうか。 語られていないから、わからないけれど。 でも、あの愛の姿を覚えているのは艮と、読者だけなわけで。 やっぱり、登場人物たちがこれでもかというほどに不幸を突っ走る作品でした。 途中にギャグとかがちゃんとあるからまたさらに悲しいんですよねー。 ちゃんと笑ったり怒ったり平穏を楽しむことが出来る子たちだから、余計にね。 特に後半辛かったのは、なおちゃんです。 艮と正人との不思議な生活を唯一の拠り所にしていたのに引き裂かれ、 艮の兄の陽炎と思わぬ年の差カップルを彷彿とさせたと思えば、あっさりと陽炎が死亡。 後に彼女の口から出た、「傍に居たいと思った人も死んじゃったし」(うろ覚え) というような台詞がなんとも胸に刺さりました。 で、悲しい別れと続いての艮の死で打ちひしがれ、 ぎりぎりの生活の中で、やっと復活の兆しをもたらしてくれた鬼火という青年。 ようやく本心から悲しみを吐き出せる場所を見つけた彼女は、 けれどもその場所を堪能する間もなく匿ってくれた家の主(正人の父)の死に出会い、 つかの間の安らぎの場の崩壊を知る。 で、あっという間に世界の終焉。 扉から現れた『神の兵士』たちにむちゃくちゃにされる世界の中、 鬼火と二人でビルの屋上に逃げたなおに、けれども幸せは掴めない。 集まってくる兵士から少しの時間を稼ぐため、鬼火は武器も無く一人ドアの向こうへと消え、 続く嫌な音と攻撃で歪むドア・・・そして、 どうにもならない中、せめてもと自ら飛び降り命を絶つなお。 最後の最後に、駆けつけた艮の姿を見て微笑んで息絶える姿がますます悲しいです。 結局、両親含め彼女が好きになった人たちは皆彼女の元から居なくなってしまったわけで。 特に、「男性」たちは皆彼女の前で息絶えてしまったわけで。 好きな人の死ばかり突きつけられて、あのまま生きれたとしても、 もう怖くて人を好きになることが出来なくなるのでは・・・と思ってしまう。 ありえないけれど、 みんなが死なずに、大団円でわいわいできる終わりがあったら本当によかったのに、と思う。 ありえないけれど。 1~3巻ぐらいの、正人に直に艮のわいわいした生活に、 時々、吹っ切れた情報屋や正人の父と火の子ちゃんが遊びに来たり、 鬼火か陽炎のどっちかとなおがいい感じになっていたり、とか。 そんな定番な結末はもうありえないけれど、 それでもこうだったら・・・と願ってしまうのです。 うん、でも、 名作です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年05月28日 22時00分41秒
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