カテゴリ:ジャズ
渋谷の某中古レコード・ショップの店主は、未知のレコードを大量に買い付ける際、参考にするのは参加ミュージシャンやレーベルなのですが、カバー曲にも注目し、そのアーティストがトニー・ハッチやバート・バカラックなどの曲をカバーしているなら、その時点でセンスは悪くないので、視聴してみたり、時間の無い時はそのまま買い付けするそうです。 これは一理あるといえばありますが、バカラックくらい有名な人になってしまうと至らないカバーもたくさん存在します。でもそうした曲がレコード・コレクターにとっては愛すべきものだったりします。僕自身もバカラックの曲が好きなので、レコードを集め始めた頃は、彼のカバー曲があれば、とりあえず買っていました。 そんな数あるバカラック・カバー集の中で、今回は、ポーランドのジャズ・コーラスグループ、Novi Singers(ノヴィ・シンガーズ)のものをご紹介します。ブルガリアのオルガン奏者、Aleksaner Mazur率いるカルテットと共演という形になっています。共産圏のポーランドで、しかも国営レーベルのMuzaからこうした作品がリリースされていただけでも驚きですが、Andrzej Krupinskiなるラテン・パーカッション奏者が参加していて、アルバム全体がほんのりとラテン風味のラウンジ・ジャズになっています。 心地よいパーカッションの音が入った「The Look Of Love」、ゆったりと始まり中盤から高速に転調する「It Doesn't Matter」なども素晴らしいですが、特筆すべきは、炸裂するスキャットと疾走感のある演奏の「Do You Know The Way To San Jose」です。この曲はジャズ・ボサノバ系のジャンルでレコードをかける機会をいただいた時は必ず選曲していました。 ポーランド・ジャズは、本場アメリカ産のものに比べると至らない部分がたくさんあります。耳の肥えた方にはお薦めしませんし、初心者の方も他の作品から入った方が良いでしょう。ですが先に述べたように、その至らなさが、ある特定の方には愛すべき部分でもあるのです。本作はNovi Singersが好きな方やポーランド・ジャズを集めている方なら、興味深く聴いていただける作品だと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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