カテゴリ:建築&ナショナルトラスト日誌
その建物を取り壊し、河川と谷を埋め、3棟(268戸)の大型マンションの建設が計画されている。 そこで、ナショナルトラスト活動を推進しているNPOのアメニティー2000は、 日本文化を現在に伝える、数少ない貴重な建築・自然遺産の消滅を目前にして、 何とかして本館だけでも残してもらえないかと、マンション計画の対案を作成した。 【記事】 http://www.sankei.co.jp/local/hyogo/061122/hyg006.htm http://www.kobe-np.co.jp/chiiki/ha/0000173783.shtml http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061122-00000264-mailo-l28 今日、フランクはNPO会員の建築家によって作成された模型を使った説明会&座談会に参加した。 代替案の説明会&座談会の会場となった草志社 (模型を作成した建築家の設計した古民家風の新しい住宅建築で、播半とは無関係。(笑)) 今回はNPOメンバーに大学教授、3人の建築家と市会議員も加わって、10名ほどが参加。 貴重な文化財を何とかして守るべく、白熱した議論が展開された♪ 草志社にある囲炉裏。実は床全面が床暖房になっている(笑)。 代替案の模型 滝にせり出した片持ち梁など、フランク・ロイド・ライトの落水荘がモデルになっている。 周辺環境はもちろん、居住者の眺望にも配慮したより低層な棚田状の設計になっている。 奥に藁葺き屋根の播半本館棟が見える。渓谷を保存し環境に配慮した設計である。 【老舗料亭旅館「播半」】 明治12年、大阪の心斎橋創業で、昭和2年に兵庫県西宮市の甲山山麓に開業した。 谷崎潤一郎の「細雪」で「芝居は鴈治郎、料理は播半かつるや」と評された老舗高級料亭。 山水に恵まれた約1万坪もの広大な敷地は、夏は避暑地、そして秋には一面の紅葉に包まれる。 滝の流れる美しい趣深い景観をもつ庭園は、知る人ぞ知る名勝地だ。 そこに大正昭和の和館の情緒を現在に伝える、往時そのままの見事な木造建築が並ぶ。 藁葺き屋根を持つ大正13年築の本館は、歴史的にも貴重な数寄屋造り建築のひとつだ。 これらの一連の建築は、造作の細部にまで趣向を凝らした独特の職人技がうかがえる。 将棋の王位戦などの会場にもなったほか、政財界人や文化人の交流の場として賑わった。 フランクは利用するチャンスが無かったけれど、Fパパは以前、同窓会で会食&宿泊を体験。 大阪湾を望む素晴らしい眺望に加え、庭園と建築は息を呑むほどに美しかったらしい。 【播半の写真が掲載されたサイト】 http://venex2.exblog.jp/416347/ 橋の向こう、藁葺き屋根の本館が独特の風情をかもし出している。(8枚目の写真) http://www.fururu.net/user/mrinn130/20041114084427 橋の向こうに、昭和天皇陛下が宿泊された千代の間のある別館が見える。(3枚目の写真) 感想: マンションのデベロッパーは、耐震強度偽装物件にも関わった東京の問題企業らしい。 計画はあからさまな利潤追求型の安っぽい長屋プラン。周囲の景観を著しく破壊する設計だ。 居住者にとっても、南端の棟以外は他棟に遮られて、最上階のみしか眺望は期待できない。 六甲山系より繋がる森林をことごとく伐採し、谷と河川を埋めてその上に建設されるため、 周囲の環境への影響は計り知れない。万一の時、水害や土砂災害の責任を誰が取るのだろうか? 市側は商業地域指定(料亭旅館だったため)で、大型マンションは法的に規制不能としている。 用途が住居に変わっても、商業地域指定を解除しようなどとは微塵も考えないのだろうか。 対して、代替案の方は、播半本館と谷川を残して、居住者と近隣の双方の景観に配慮した、 実に素晴らしい案である。ただし、戸数が半減するために、一戸当たりのコストは上がる。 代替案を強力に推進して、知事や市長、河川管理の国土交通省などに指導を強化してもらい、 結局は採算が取れないからと、業者に計画自体を断念してもらえると一番いいのだけれど…。 今後は周辺自治会に一致団結して協力してもらい、反対運動を盛り上げて行くことになった。 すでに業者に売却されてしまっていて、来年1月着工予定なので、阻止は至難の業。しかし、 このままあっさりと巨大マンションが建つとすれば、大変残念で、あまりに空しく悲しい… 首相官邸や文化庁にもメールで働きかけてみようかな・・・? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 29, 2006 10:33:05 PM
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