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私と猫と編み日記-幸せな女と思われたい-

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coyote24

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yukabell@ Re:ねこの窓(04/19) 仲良しでなにより。 しいさん、フェノバー…
coyote24@ Re[1]:疲れたな。(01/07) coyote24様の作品のファンです(~▽~@)♪♪…
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Jan 9, 2009
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テーマ:たわごと(26811)
カテゴリ:思い出
ケチケチしないで、
やっぱり、マンションの前で
タクシーを拾えばよかった。

昨日の親不知の大惨事。

着替えをするだけで
息切れがしていたのに
あたしは、駅に向かって歩いていた。

いつもなら
ほんの3分の道程。

一歩、足を進めるだけで
心臓はトクトクと高鳴り
耳はツーンと遠くなり
目の前の視界は狭くなる。

その上、
何も食べてないのに、
腹痛に見舞われている。

あたしの身体は一体どうなってしまうのだろうか。

不意に子供の頃の記憶が蘇った。

あの冬も、
インフルエンザが大流行していた。

また1人、また1人と
日に日に、欠席者が増えていた。

あたしは、
この調子で行ったら
自分もきっと
この得体の知れない波に飲まれるのだろうと
信じて疑わなかった。

少し、ワクワクしていた。

姉は身体が弱く、
頻繁に風邪を引いては熱を出した。

その度に、
母親が学校に迎えに来ていたのを
あたしは、どこかで羨ましく思っていた。

身体の丈夫なあたしは
早退どころか
お休みという
子供の一大イベントに見舞われることもなかったのだから。

毎朝起きては、
頭は痛くないか
喉は痛くないか
確認をしては、
今日も健康な自分を恨んだ。

いつものように学校へ行ったら
欠席者はまた増えていた。

女子はあたし1人になっていた。

なんだか、いたたまれない気持ちになった。

馬鹿は風邪引かない。

みんなの目がそう言っているように見えた。

あたしは、なんとしても、
今日、風邪を引きたかった。

なんとしても、頑張って
熱を出したかった。

風邪の子供が多いので
毎日、全員で体温を測るというイベントが
その頃、日々行われていた。

あたしは、その時間までに熱を出さなくてはならない。

祈っても祈っても、
熱なんか出るはずがないのに。


お約束の体温計測の時、
どうにも上がって行かない水銀が口惜しくて
あたしは、持っていたホッカイロで
体温計をそっと包んだ。

トクトクと高鳴る鼓動に合わせて
水銀は見る見るうちに上がって行った。

体温計の提出と同時に
あたしは保健室に連れて行かれた。

すぐにお母さんに来てもらうように電話するからね。

と言って出て行った担任の先生は
なかなか帰ってこなかった。

あたしは、ピンピンしてる身体を
ベットに横たわらせて
シンとした校庭を眺めていた。

授業終了のチャイムが鳴った。

さっき見た、
ぐんぐん上がっていく水銀のように
勢い良く、校舎から生徒達が飛び出してきた。

昨日、うっかり落としてしまったビーズの箱の
散らばりかたに似ているなぁと
ぼんやり思っていた。

あたしは、なんだか
泣きたいような気持ちになっていた。

なかなか帰ってこない先生に対してなのか。
ズルをした自分への自己嫌悪に対してなのか。

やっと戻ってきた先生は
少し残念な顔をしていた。

母は、妹に手が離せないから
今日は迎えに来られないと言う。

あたしは、産まれたばかりの妹を
すっかり忘れていた。

先月までの、
「妹なんだから我慢しなさい」
という母親の口癖は
「お姉ちゃんになったんだから」
にいつの間にか変わっている。

あたしは、
妹になったり、お姉ちゃんになったり
なんだか、ややこしいしいなぁと思って
妹が産まれたことを少し疎ましく感じていた。

結局、
あたしはその日、
1人で家に帰った。

学校から家まで
子供の足でも、5分と掛からない距離だった。

あたしは、
その距離を、殊更ゆっくりと歩いた。

背中では、
体育授業の笛の声が聞こえた。

気をつけてと手を振る
先生の声が聞こえた。

あたしは、それを振り返ることすら出来なかった。

何故だか、あたしは泣いていた。

嘘をついた自分に傷ついていたのか。
迎えに来ない母親に腹を立てていたのか。

あたしの、記憶はそこでぷっつりと切れている。
その後、家に着いて
母親に何と言ったのか言われたのか
思い出そうとしても
どうしても思い出せない。

怒られた記憶もないところを思うと
あたしは上手く嘘を突き通したか
母親は分かっていても、
迎えに行かなかった手前何も言わなかったのだろう。


あたしの今の状況は
この思い出に少し似ているのかもしれない。

誰かに寄りかかりたい。
誰かに助けてもらいたい。
誰かに気にかけてもらいたい。

だけど、それが思うように出来なくて。

体重よりも重く感じる身体と
子供の時の暗い思い出を引き連れて
駅のベンチに座って電車を見送った。

あと何日かすれば
身体は元に戻るだろう。
そして、
こんなに具合悪かったことさえも忘れてしまう。

同じように、
思い出も、
日が経つと共に、
消えてなくなってしまえばいいのにな。

親不知によって
引き出された思い出は
なんとも生臭く、
昨日飲んだ血の味を思い出す。

あたしの中のトライアングル(小規模)。






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Last updated  Jan 14, 2009 05:57:06 PM
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