「よくわかる原子力」から
『総括原価方式
そもそも、電気の値段はどのようにして決められるのでしょうか。我が国では電力のコストは電気事業法という法律に基づき、「総括原価方式」という方法で計算されています。
この方式は、発電・送電・電力販売にかかわるすべての費用を「総括原価」としてコストに反映させ、さらにその上に一定の報酬率を上乗せした金額が、電気の販売収入に等しくなるように電気料金を決めるやりかたです。
つまり、電力会社を経営するすべての費用をコストに転嫁することができる上に、一定の利益率まで保証されているという、決して赤字になら ないシステムです。これを電気事業法が保証しています。普通の民間企業ならば、利益を生み出すために必死でコストを削減する努力をするはずですが、電力会 社はどんなにコストがかかろうと、法律によってあらかじめ利益まで保証されているのです。
戦後の荒廃の中から経済復興をはかるために、公益性の高い電力事業を基幹産業として保護育成するためにとられた政策ですので、日本が経済発展をするためには一定の歴史的役割があった方式ということもできます。
しかも、電気事業法は電力会社の地域独占も認めています。沖縄を含め全国を10のブロックに分け、それぞれの地域内では特定の電力会社以外、電力を売ることができませんでした。つまり、電力会社には市場で競争するライバルがいなかったのです。
電力会社は民間企業であるとは言いながら、これほど手厚く法律によって保護されている企業はありません。産業が高度化し、多様化している現在、エネル ギーも石油やガスなど多様化しているわけで、電力だけが優遇されている電気事業法の仕組みは、歴史的使命を終えているのではないでしょうか。
この電気事業法に守られて、電力会社はコストを考えることなく、
設備などを増強してきました。どんなにコストをかけようと、必ず儲けが保 証されるわけです。というよりコストをかければかけるほど、儲けが大きくなるしくみですから、原子力発電所など高価な設備をつくればつくるほど儲かること になります。しかし、その結果、電力会社は市場の競争原理にさらされることなく、日本の電力料金は欧米諸国にくらべひどく高くなってしまいました。民生用 に比べ割安の産業用電力料金を比較しても、日本の電力料金がいかに高いか、グラフから読み取ることが出来ます。』
これをみんな知っているのだろうか?
原発事故の補償費用も「原価」に含まれるのなら電気料金はどこまで上がるか想像もできない。
その料金には電力会社の利益があらかじめ組み込まれている?
これは電気事業法を改正するしかないのでは?