孫崎享メルマガより転載
今日の選挙結果にがっくりしていたが、いつまでもそうしてはいられない。そんな時届いた孫崎メルマガは、落ち込みから引き上げてくれるようだった。涙が出そう。「舛添氏が勝利した。 幾つか注目される。? 大雪で、投票率が午後7時半現在の推定投票率は34・14%と推定されるなど極めて低い。自民党・公明党という組織票を持つグループの見解が前に出た。ただし現状では投票率が上がったとしても大勢に変化はなかったであろう。? 自民党、公明党支持者は舛添支持に固まっていたが無党派層で見れば宇都宮・細川が上回っている? 政策については、景気・雇用が31%、エネルギーが20%となっている。? 景気を重視するとした人の60%以上が舛添支持である。エネルギー・原発重視をした人の60%は宇都宮・細川支持である。つまり、都民が「景気を重視する」を選択したことによる。? 原発については55%が「段階的縮小」で、「即時ゼロ」が23%となっている。これらを踏まえ、幾つかのことを考えてみたい。マスコミは今回の選挙で、徹底して原発を争点にしないようにした。代表的なのはNHKで、原発をテーマにしないことを現場まで浸透させ、NHKラジオで中北教授の発言を行わせなかったこと、ピーター・バラカン氏に対し、東京都知事選が終わるまでは原発問題に触れないよう要請していたことでも明白である。マスコミが原発を取り上げないことで、選挙民も都知事選挙と原発との関係をリンク付けなかったと言える。それを考えれば、選挙民が景気を最重視し、桝添氏を選んだのも納得がいく。 原発政策については55%が「段階的に縮小」とし、「即時ゼロ」23%としている。これは問いが恣意的である。もし「原発稼働ゼロの現状維持」か「再稼働を許していくか」という質問であれば、前者の方が優位に立つと思われる。 「段階的に縮小」という人々は、再稼働の個々のケースにどのように反応するかとなると疑問の余地が残る。 現在国民の約60%程度は大手マスコミを信頼している。 そしてこのマスコミが、政府・自民党の代弁機関となって世論工作に加担している。それを考えると、日本が正常化に戻るには時間がかかるとみられる。 極めて明白なのは「主要マスコミにニュースを依存する」層と、ソーシャル・メディアを活用する層の考えに大きい格差がある事であり、日本の民主化には如何にソーシャル・メディアを活用するかが問われている。 今、日本国民は自民党で経済がよくなると思っている。 実は経済的に厳しいからこそ、「景気を良くする」という言葉に惹かれている面もある。60%。70%という人は、現時点で、よくなっているという実感はない。 消費税が上がることによって、多くの人々の生活はダウンせざるを得ない。 その時もあいもかわらず自民党支持を続けるのであろうか。 ここで、リベラル層の在り様について考えてみたい。 結果的にみると、宇都宮・細川の一本化が出来たとしても、勝利することはできなかったであろう。 しかし、今回若干の人々が一本化に動いたけれども、両陣営ともこれに深刻に取り組まなかった。 今後の課題はリベラル勢力がどう一本化できるかが極めて重要だ。 その際、必要な考えは次の点にあろう。? 一本化することのメリット、デメリットを冷静に考える、? 一本化する側の諸勢力の間に見解の差などが存在していたとして、この差が一本化して得られるメリットに比してどれ位重要かを考える。 宇都宮、細川両グループの方々、選挙の結果を踏まえ考えていただきたい。「舛添氏が宇都宮、細川氏より良いのであろうか。」リベラルのグループで献身的に働いている方々に敬意を表したい。同時に是非次の点を考えていただきたい。自分達の主義主張が実現できればそれがいい。しかし、それができない時にどうするか。セカンドベストを受け入れる知恵をつけるべきではないか。」