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テーマ:映画館で観た映画(8566)
カテゴリ:洋画(ら行)
原題: LE SILENCE DE LORNA/LORNA'S SILENCE 監督・脚本 : ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ 出演 : アルタ・ドブロシ 、 ジェレミー・レニエ 、 ファブリツィオ・ロンジョーネ 、 アルバン・ウカイ 、 オリヴィエ・グルメ 鑑賞劇場 : 恵比寿ガーデンシネマ 公式サイトはこちら。 <Story> アルバニアからベルギーへやって来たロルナ(アルタ・ドブロシ)は、この地で国籍を得て暮らしていくため、 ブローカーのファビオ(ファブリツィオ・ロンジョーネ)の手引きで、ベルギー人青年クローディ(ジェレミー・レニエ)と偽装結婚し、共に暮らしている。 クローディは麻薬に溺れる生活から抜け出そうと、ロルナに希望の光を見出していた。 だが、ロルナを使って国籍売買しようとしているファビオには、 ロルナが国籍を取得したら彼女を未亡人にしてしまう計画があった…。 ロルナの祈り - goo 映画 <感想> ガーデンシネマのラインナップはもともととっても好きなのです。 落ち着いて、深みがある映画が多く、 本当に映画が好きな人が見に来る映画館という印象が昔からあります。 ガーデンプレイスも綺麗だし、恵比寿三越とかもついでに行くし。 ・・・ってそっちがメインだったり。 笑 東欧が舞台になっている話ですと、いろんな民族事情が絡んでくるだけに、 話の内容がどうしても深刻になりがちです。 ちょうど1年前に公開していた、 『4ヶ月、3週と2日』をついつい思い出してしまいました。 思うように生きられないもどかしさ、秘密を持たないといけない不自由さ。 そんな現状を描くとなるとどうしても、暗いトーンが先行してしまいます。 『4ヶ月、3週と2日』にも共通することなのですが、 説明が細かくされていないので、端々からシチュエーションを読まないといけません。 そこからつなぎ合わせて心情を読んで行く作業が必要です。
夢をかなえて自由を手に入れるためには、 大きな代償が必要。 それは時に、人を踏み台にしてのし上がらないといけないものなのかもしれません。 自由のない世界から自由へと行くためには、それこそ 命と引き換えに・・・ くらいの辛酸をなめないといけないのでしょう。 そうやって自由になった人がいるからこそ、このような話が生まれるのかも。 「お金」が物を言う状況で、人がお金にしか見えない中で、 ロルナは粛々と過ごしていたけれど、 クローディはロルナを心の拠り所にしているんですね。 ロルナがいるから、立ち直ろうとしている。 その懸命さが切なかったな。 そしてロルナとの間に生まれる一瞬の感情・・・。 どうして、とか、何故? とか、そういう次元じゃなくて、 本能的に今そうしないではいられないような衝動・・・。 説明できないほどの狂おしい場面。 この映画で心からロルナが笑う場面がたった1か所だけあります。 はじけるような微笑。 愛する人に向けられた、屈託のない笑顔。 本当はそういう風に生きていくのが彼女の夢なのかな・・・。 ロルナは誰から、何を守ろうとしていたのだろう? と、考えてしまいました。 実際に彼女が守りたかったものは自分であり、 クローディとの思い出でもあったのかな。 先に何が待っているかはわからない。 でも、不思議なくらい彼女は堂々と落ち着いていて。 守るものがある人間の底力を感じます。 主演のアルタ・ドブロシのインタビュー記事を読みましたが、 この映画のロルナとは全く違った雰囲気です。 普通の女の子という感じ。 この映画では、極限に生きる人間の切羽詰まった感じをよく出していました。 実際、彼女はコソボ共和国の出身で、 マケドニアの難民キャンプで暮らしたこともあるという過去の持ち主。 その経験もこの役に十分影響を及ぼしているに違いありません。 オーディションでこの役を射止めたのも、必然だったのではないでしょうか。 今後の活躍に期待したいです。
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