夜更かしは危険がいっぱい
(長いです) 青少年の夜遊びには危険がつきものですが、家にいれば安心なのでしょうか?少なくとも家に居れば、交通事故には遭いません。繁華街で不良にからまれたり、悪い大人に騙されることもありません。我が子が家に居るか、外出しても早く帰ってくれば親も安心です。私も娘ちゃんが外出すると「ただいまー」の声を聞くまでは、心配でたまりません。ここですっかり安心してしまうと、我が子が就寝するまでの間、自室で何をして過ごしているのかまでは気に留めなくなります。いちいち干渉するのも自立を妨げるようで抵抗感がありますが、実態は掴んでおくべきだと、私は思います。我が家でも、定期試験前なのでてっきり勉強しているものだと思っていたら、夜遅く(場合によっては午前様)まで延々とパソコンをしていたこともありましたし、部屋が暗いので寝たのかと思ったら、布団の中でメールを打っていた、なんてこともありました。もちろん見つけ次第注意します。それでも止まない時はパソコンはロック、携帯は没収します。 パソコンと携帯電話がダメ!なのではなく、こんなもので夜更かししていることに腹が立ったからです。 つい先日も青森で凄惨な事件が怒りました。犯人の18歳の少年は精神科にも通院し、小学校時代から登校拒否で引きこもりだったそうですが、パソコンで小説を書く(実際に書いていたのか、書く予定だったのかは不明)とか、「動機はパソコンを見ればわかる」と言うなど、パソコンに依存した生活であることは容易に想像がつきます。そしておそらくは…昼夜逆転の生活だったのでしょう。 なぜ急にこんな話題で記事を書いているかというと、実はうちの娘ちゃん、長期休暇や連休になると鬱っぽくなるんですよ。本人的にはだいぶ吹っ切れたらしく自分のHPでも「あの時は鬱(状態)だった」と告白していますが、この中2の夏休みは最悪の状態でした。休暇で余裕ができたせいで、考える時間が増えた?塾の夏期休暇と部活で疲れすぎ?…色々と想像しましたが、直接結びつくものはありませんでした。 その後、持ち直して冬休みはまぁ大丈夫だったのですが、やはり普段学校がある時よりは、気分が下降しているのが見てわかります。何故? そこで行き着いたのが夜更かしが原因なのでは?ということでした。休暇中はパソコン解禁なので、初日からいきなり「夜型」になります。だから私はMyパソを与えることに反対したんだよっ!(←未練たらたら)私にも覚えがありますが、世間が寝静まった深夜には不思議なほど頭が冴えて、クリエイティブなことをするには最高なんですよね。しかし、反面「昼間なら考えもしないことまで考えてしまう」危うさもある。 夜更かしと鬱の関係、さらには自殺や少年犯罪について調べるうちに、中日新聞に掲載中の「夜回り先生」こと元高校教師、水谷修さんのエッセーに行き当たりました。一部抜粋して紹介します。もちろん、娘ちゃんにも見せました。 『心身のバランス 夜、眠っていますか』(2007,8,20) 子どもたち、夜眠れないという経験をしたことがありますか。人は、こころとからだのバランスが狂うと夜眠れなくなります。特に、こころが疲れ切っているのにからだが疲れていないと、いらいらがたまり、そして夜眠れなくなります。 君たちが生活する今の社会は、ものすごいストレス社会です。道を歩くことにも、常に車への注意が必要ですし、家庭や学校でも、君たちを追い立て傷つける多くのことばが飛び交っています。その一方で、こどもたちがからだをあまり動かすことのない社会になっています。多くの子どもたちが、自然の中を走り回ったり、からだを使って何かをすることより、ゲームや携帯電話、あるいはコンピューターの前で日々を過ごしています。その結果、心身のアンバランスが生まれ、夜眠れない状態になってしまいます。 これは、君たちのこころにとって、とても危険なことです。夜眠れないために、今度は、昼動くことががつらくなり、ひどい場合には、朝起きることもできなくなり、生活リズムが完全に狂ってしまいます。そして、いらいらがつのり、誰かにぶつけてしまったり、あるいは自分を傷つけたりしてしまいます。今、日本では、この「夜眠れない子どもたち」が、どんどん増えていっています。------------------------------(中略) 今、日本で、多くの大人たちが、子どもたちまでもが、精神科の睡眠薬などの薬の力を借りて、夜眠ろうとしています。確かに、一時的には薬の力を借りることも大切ですが、永遠に薬のお世話になることはできません。一番の解決は、きちんと心身の疲労のバランスをとること、規則正しい生活を日々おくることです。 夜に携帯やメールで人と関わる事の危うさについても警鐘を鳴らしています。エッセーの前半部分のみ抜粋、転載します。 『夜の携帯・メール 感情ぶつかり双方に傷』(2007,11,26) 子どもたち、夜電話をしたり、メールをしたりしていませんか。子どもたち、気付いていますか。夜、話をしたり、メールで語り合うことの危険性を。夜は、人間は夜行性の動物ではありません。夜は、人間にとって本来寝る時間であって、ものを考えたり、行動する時ではありません。 子どもたち、夜は恐ろしい時です。人をその暗さが不安にさせ、そして感情的にします。昼間の哀(かな)しみを思い出せば、何十倍ものつらさになっておそってきます。昼間の怒りも、何十倍になって跳ね返ってきます。寂しさも、つらさも…。子どもたち、その夜にメールを打ったり、誰かと携帯電話で話したりすれば、落ち着いて話すことはできません。考えてごらんなさい。なぜ、本当は眠るはずの夜の時間にメールや電話をするのですか。きっとそれは寂しいから、つらいから。こころが感情的になっているから。そして、救いや癒(い)やしを求めて連絡しているはずです。(続く) 本来、パソコンや携帯電話を必要としていたのは「仕事をしている忙しい大人」でした。これにより業務の効率が格段にアップし、組織内での伝達やデータの管理等が、24時間指先だけで可能になったのですから。事務所や机が無くてもパソコンと携帯電話さえあれば、どこでも仕事ができる、便利な世の中です。逆に「どこでもできる」ことが仇になり、常に仕事に縛られる事態も生じます。 私自身も、書類の作成を頼まれた時に「パソコンで作るし、夜中でもできるから大丈夫」と、つい安請け合いしたり、相手は多忙と知りつつ「自宅に居ないなら携帯に電話するね」と言うこともあります。これでは誰もが24時間営業・年中無休ですよね。ストレスもたまるってもんです。今の子どもは、生まれた時から『いつでも、どこでも、即!』が当たり前の世界だからね。便利さを求めた大人たちの創ったこんな社会(&人間)の中で育ったおかげで、心の余裕が無くなっても当然でしょう。 深夜までゆったりと読書をしたり、音楽を聴く(もちろんヘッドホンで)、絵を描く…等の文化的な活動はある意味贅沢な時間の過ごしかたですし、時にはこのような時間を持つのは、精神の安定を保つためにも良いことだと私は思います。それでも限度はありますが…。いずれにしても、現代人はもっと早く寝るように心がけるべきですね。★中日新聞【夜回り先生のエッセー】を全て読むにはココ↓からhttp://www.chunichi.co.jp/article/feature/yomawari/