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2006.02.21
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カテゴリ:独り言
 肌寒い空気がベッドの隙間から潜り込んでくる。彼は仰向けになって明かし暮らした部屋の空気を思いっきり吸い込んでみた。喉に引っかかりを感じる。あきらかな煙草の吸いすぎだ。彼はまた煙草を控えなきゃいけないと悟る。しかし翌日にはそれが失敗に終わることも彼はまた同時に悟るのだ。
 昨夜から降り続いていた雨は止み、代わりに朝霞が淡白い日光を包み込んで窓枠から降り注ぐ。体を半回転させ枕元に置いてある時計を手に取り時間を確かめる。しかしそれは彼にとっての単なる習慣に過ぎず、実際今日が何曜日の何日かなんてことは微塵も覚えていない。また同じ日曜日がやってきただけである。今日は昨日との繋がりが濃密になり昨日と一昨日との繋がりが薄くなっている。おそらく明日も明後日も同じ連続性の渦の中で埋もれて生きてゆくのだと彼は漠然と感じる。
 石油ストーブのスイッチを足でつけてすぐにベッドに潜り込む。二度寝するには少々気温が低すぎるようだ。彼はひざを抱えて丸まる。体の中心から滲み出てくる大きなものが脳をとろんと溶かす。顎の力が抜けてゆく。どうやらいずれにせよ寝れてしまうようだ。彼は溶けた脳みその表面でその言葉を繰り返す。
 彼は少しずつ集まる光の粒を見つけていた。気だるい夢の中で唯一見ていられるものだ。彼はその日、コーヒー豆とさゆりとアレルギー性鼻炎の夢をみた。それぞれの明確な形も関連性も物語りもなかった。ただ、そこにはコーヒー豆とさゆりとアレルギー性鼻炎の概念が強烈な匂いを残し、どこか違う場所で輪になっていたという事実が横たわっていただけだ。そして今ではそれはもう存在していない。
 彼は目を醒まそうとしている。あるいはもう二度と目を醒まさないのかもしれない。どちらにも転ぶ可能性の上で彼は寝返りをうった。石油ストーブが給油のアラームを鳴らす。目覚まし時計の電池はすでに切れている。結局のところ、微妙な琴線の境目で不毛な存在価値を見つけ出すことは、決定的にある可能性への近道にしかならないのではないか、と私は考える。
結論はすでに置かれていた。





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最終更新日  2006.02.22 03:43:14
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