『メタモルフォーゼの縁側』
公開時に観に行けず、円盤化を待っていた。配信もあったのだけど、メイキングも観たくて。年始の休みに、ゆっくり、じっくり、拝見。まず、実写化であるという事。コミックス5冊を凡そ2時間にまとめる為、カットや改変があるのは当然である事。拒否する前に、先ずは理性的に受け止めよう。原作ファンであるから、つい躊躇があったのは確かで、だから公開時に観に行けなかったというのが正直なところ。でも、やっぱりちゃんと観て、どういう映画に作られたのか確かめたいという気持ちが勝った。結論は、観て良かった。普段テレビで見かける「芦田愛菜ちゃん」とは違う、自分を上手く解放出来ない、地味で目立たない、もっさりとした高校生「佐山うらら」がいた。ひとつの出会いから、感情が動きだし、変化していく様が、よく解った。走るシーンが何度か出てくるのだけど、走り方が全部違って、その時々の感情をセリフ無しに雄弁に伝えた。宮本信子さんと、原作のあの風貌が結びつかなくていたのだけど、「市野井雪さん」の老いを原作より強調して見える部分に、なるほど…と思ったり。巧い役者さんだから、「うらら」と「市野井さん」の物語が動き出すと、抵抗はなくなる。市野井さんの「描いてくださって ありがとうございました」に、胸がいっぱいになった。うららの「今日は完ぺきな日でした」に、とっても嬉しくなった。原作の大好きで大切なシーンを、映画で観る事が出来て、更に感動してしまった。映画のポスターで観た時は、どのシーンかピンと来ていなかったのだけど、映画を観終わってBDのジャケットを改めて見て、なるほどなぁ…と。ふたりのはじける笑顔、はしゃいでるあのシーンの、何て素敵な事。全く派手なところのない、ファンタジーではなく、現実味があって、日常にある小さな明と暗が描かれている。原作に感じる、幸せと切なさが、ちゃんと映画になっていた。コメダ先生、ビックサイトが見えるトコにお住まい。小難しい漢字ばっか書いてる男の子の習字が、効果的。