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カテゴリ:坂田 博昭
水曜日の担当は、坂田博昭です。
今回は、先週の名古屋競馬の開催からリポート。 まずは、3月27日水曜日の風景から。 先週の名古屋は、日替わりで雨が降ったり晴れたり。 27日水曜日は1日だけとてもいいお天気。 少し日が傾いてくると、空全体がほんのり茜色に染まる感じで、いい風景になりました。 その夕方の7レース終了後、更に前週の3月21日に笠松で地方競馬通算5000勝を達成した岡部誠騎手の表彰セレモニーが行われました。 岡部誠騎手の、セレモニーでのインタビューの模様は、名古屋競馬オフィシャルYoutube映像のこのあたりからご覧下さい。 セレモニーのあとに、岡部誠騎手の話を聞く機会に恵まれました。 「競馬って、難しい……」 こんな一言から、取材陣とのやりとりは始まりました。 「最近は、勝てないという葛藤があったり、もっと出来ることはないかと思うことばかりです。」 これだけの実績を上げながら、自分とそのプレーへの評価がどんどん厳しくなっている彼。いつ頃からそんな風に思うようになったのだろうか……。 「何勝あたりからそう感じるようになった、というよりも……最近、そう思うことが多くなったような気がします。」 いくつかある要因の中に、競馬場の移転とコースがわりということもあがりました。 「弥富に移ってこのコースになって、シビアなレースが難しくなってきたと感じています。通るところを緻密に考えたり、ライバルの脚を図ったり、時には感性に任せて馬を操ったり、そういうレースが難しくなっている。そう感じていることが何か『もやもや』しているひとつの理由ではありますね。」 コースに関しては、言うまでもなく、皆条件は同じ。 それでもこういう話が出るのは、この条件の中で自らが培ってきたものをどのように、かつてのように活かすべきなのかということを、彼がいまでも探っている証左でもあります。 「まあ……年を取って、以前より頑固になって来たのかも知れませんね(笑)。より『勝ち』に拘るようになって来たのかも(更笑)。」 とにかく、競馬が大好き、という彼。 映像や雑誌、ネットの競馬の情報は、文字通りの「可能な限り全て」目を通して熱心に研究しています。 「自分は、自分でも思うぐらい競馬に対してアツすぎるので(苦笑)。それに比べると若いひとたちは本当にあっさりしているなと。若い人にも、もっと競馬にアツく取り組む人が現れればいいのになと思っていますよ。」 これに続いて、こんな言葉も出ました。 「もし、そのぐらい競馬にアツくて、この人なら任せてもいいな、馬に乗ってもらいたいな、と思う若手の騎手が現れたら……その時は、調教師としてそういう人にレースを任せるのもいいかもしれませんね。」 調教師になる、という話ではありませんが……最後に、彼自身の競馬観とか、競馬人として自らをどう感じているかということが、とても良く現れた言葉が出ました。 人は、通過点をいくつも通過しながら、変化しつつ歩んでいきます。 王者・岡部誠の「これから」を、一層興味深く注目していきたくなる、今回の取材でした。 3月28日木曜日は、天気予報通り夕方から雨降り。 それも、時を追うごとに雨は激しくなり、風も強く吹いてきて、メインレースの時には「嵐」のような様相となっていました。 そんな中で行われたのが、3歳馬の重賞・ネクストスター中日本。 北陸(金沢)と東海(笠松・名古屋)の交流戦 昨年秋、2歳のネクストスターの勝ち馬は、金沢のダヴァンティと笠松のワラシベチョウジャが登場しました。 一方、名古屋からは、ネクストスター名古屋2着のミトノウォリアーと、昨年秋にゴールドウィングを勝ったフークピグマリオンが主力。ここに来て重賞連勝のスティールアクターの出走取り消しは、誠に残念……。 ダヴァンティがスタートを決めて先手を奪うと、ミトノウォリアーがすかさず番手を確保。直後にワラシベチョウジャ。 フークピグマリオンは、「理想の位置」という中段外目 3コーナー辺りで、ダヴァンティの手応えが厳しくなると、ミトノウォリアーが並びかけ、4コーナーでは流れの赴くままにミトノウォリアーが先頭に立ちました。 というか……立ってしまった。 直線で、早めに先頭に立つミトノウォリアー しかし、前に馬がいない形が苦手なこの馬にとっては、良くない形。 外から伸びてきたフークピグマリオンが、急襲! フークピグマリオン快勝 今井貴大騎手は「騎手人生で恐らく初めて」と自ら語るガッツポーズ 「金沢の馬(ダヴァンティ)の手応えが早々になくなってしまって…」 ミトノウォリアーのウィークポイントの露呈を最小限にしつつ、メンバーや流れを考えた運びだったのでしょう。ただ……ダヴァンティの栗原騎手が「昨年のネクストスターのあと、順調に使えていなかったし、復帰戦の前走も時計は遅かった。今回は厳しい戦いになると思っていた。」と話すように、肝心のライバルのデキが今ひとつでした。 同厩舎のスティールアクターが出ていれば、もしかしたらそれを目標にレースをして、2頭の一騎打ちになっていたかも知れません。現状はどうしても、この馬は流れひとつ。 「100の力を持っていても、80しか出せなければ、それが実力ということ。今回もこれまでと同じ形になってしまいました。1回1回リセットして、工夫も含めてやっていくしかないですね。」 潜在能力は、間違いなくあるんだ……この馬。 岡部騎手と、角田厩舎のスタッフの皆さんと、ミトノウォリアーの「戦い」は、まだまだ続きます。 今井貴大騎手の勝利騎手インタビューの模様は、名古屋競馬オフィシャルYoutube映像でご覧下さい。 宇都英樹調教師は、このフークピグマリオンで勝った昨年のゴールドウィング賞に続き、開業以来2勝目の重賞制覇となりました。 「貴大で勝てたのが、本当に嬉しい。馬のことは全部貴大に任せています。」 …と宇都調教師が話せば、今井騎手も 「ほんと、何も言わない(で任せてくれている)。厩務員さんにも何も言わないし。」 今井騎手が馬と向き合いながら、丁寧に調教を積んでいるようです。 「名古屋に来たばかりの頃は気性的に大変な馬でしたけれど、いまは大分落ち着いています。課題だった手前も、じっくり調教して来て今日はきちんと替えてくれましたね。」 何せこの馬、門別で昨年7月にデビューした時点で、すでにセン馬になっていましたから……当時から、周囲の人々が大分手を焼いていたのでしょう。いまはこうして名古屋で人手をかけられ、成長の道を辿るフークピグマリオン。この馬も、この後続く3歳重賞戦線の主力の一角を間違いなく占める存在になりました。 来週は、佐賀と名古屋から、になるかな……。 来週の名古屋の開催では、新人騎手のデビューも予定されていますよ! 最後に、イベントのご報告。 4月30日土曜日に、北海道の場外発売所・Aiba石狩で、ホッカイドウ競馬所属の阿岸潤一朗騎手のトークショーを企画し、行わせていただきました。 昨年デビューし、34勝を挙げた彼。 デビューまでのこと、デビューしてから、どんな心持ちや考えでレースに挑んでいたのかなど、深くて興味深い話が披露されました。 彼は、Aiba石狩がある石狩市の浜益地区の出身。 今回は「ご当地」トークライブということで企画させていただきました。 日常この場所を訪れる競馬ファンの皆さんだけでなく、近隣で彼のことを知っている身近な方々もお越しになり、トークイベントを盛り上げてくださいました。 場外発売所って、本来こういうことが出来る場所。 そして、場所とプレイヤー、お客さま方がこうして繋がっていくという、こういうことがスポーツにとってかけがえのないとても重要なことだと、改めて実感したイベントになりました。 またこれからも、こうしたことを続けていければと心から思っています。 ご来場の皆様、ありがとうございました。 それでは、また来週! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年04月03日 10時51分46秒
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