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カテゴリ:坂田 博昭
水曜日の担当は、坂田博昭です。
前回に引き続き、先週の名古屋競馬場の開催から。 4月11日木曜日 東海クイーンカップ当日の名古屋競馬場 雲の雰囲気が、もう夏という感じですよ…… この調子でいくと、夏の暑さがちょっと心配ではあります。 先週の開催では、怪我で戦列を離れていた騎手が2名復帰しました。 1名は、先週の稿でご紹介した丸野勝虎騎手。 もう1名は、丸山真一騎手です。 12月20日にレース中の落馬事故で肩を負傷し、戦列を離れていました。 およそ4ヶ月。復帰まで、結構かかりました。 「左の肩の関節の部分を痛めて、治るまで長くかかりました。リハビリが大変でしたね。」 左の腕を少しだけ上げて、脇を開けるような格好をして…… 「初めのうち、この体勢のまま固定されて、その格好でずーっといなきゃいけないって(苦笑)。本当に大変でしたよ……。」 復帰初戦。9日の1レースのパドックで、騎乗のため整列(一番右) 「調教に乗り始めてから1週間ぐらいです、本当は(再来週の)次の開催から復帰と思っていたのですが、レースに乗った方がいいという助言もあって……この開催は騎乗数を絞って乗っています。それでも身体はエラい(きつい)ですね…。」 丸山騎手と言えば、なんと言っても「穴の丸山」 昨年、単勝6万7350円という配当を出し、話題にもなりました。 復帰した最初のレースでも12番人気(最低人気)の馬で3着。好配当を提供しました。 写真は、復帰後初勝利となった9日5レースのポロネーズ(1番人気)。 (この写真は、愛知県競馬組合から提供して頂きました) 「リハビリは大変だったけど、休みっていう意味ではリフレッシュもしましたよ。丁度子どもが春休みで、一緒に遊びにも行くことが出来ました。」 丸山騎手の場合、名古屋の開催がない週は笠松でもかなり乗っているので、通常営業だと休みは殆どないのでしょう。そう考えると、怪我は確かに大変なことだけれども、休むためのいいきっかけにはなったのかも知れません。 11日9レースの特別戦を勝ったエナジーロマネスク(6番) 本格化して、これで3勝目。 面白い存在になるかも知れません。 とにかくいまは、もう全ての騎手に「気をつけて。ご安全に。」としか声の掛けようがありません。今日も明日も、そして明後日も。事故なく全ての馬と騎手が帰ってくることをまずは祈りながら、レースを見ていきます。 ここで、話題をひとつ。 名古屋競馬場に距離のバリエーションが増えました。 新たに、1400mのレースが行われるようになりました。 これが、基幹距離の1500mのゲート位置 ゲートが100m前に出てくると、このような感じです。 結構前に出てきますね。 最初の1コーナーまでの距離が短くなるのが懸念されましたが…… 乗った騎手に話を聞いてみると、気にならないとのこと。 コーナーまでの距離も十分あることと、内をタイトに回ることがないので、馬が密集しても「逃げ場」があるからではないか、という話も聞こえてきました。 昔、土古の旧競馬場には、基幹距離の1400mに対して、1300mというレースがあったと。その時は結構危なかったそうです。土古では、内ラチ沿いで厳しく位置を取り合っていましたから。 当時乗ったことのある騎手に話を聞いても、「それと比べたら全然問題ない」とのことでした。 たかが100m されど100m 他場でもそうなのですが…… 馬によっては、この100mの違いが効いてくることもありそうです。 あるいは、もっと数多くレースが行われれば、展開も違ってくるのかも。 いまは原則として、C級戦が1日に1鞍組まれるだけですが、今後もっと上のクラスとか、重賞レースなんかが行われるようになっても、面白いのではないかと感じました。 カンパイの時に振られる白旗の係員さんの立ち位置が、ゴール写真を撮る私たちの目の前で……気がつくとそこに人がいてちょっとビックリしました(笑)。 もう一つ、騎手の話。 先週の開催から、浦和の室陽一朗(むろひいろう)騎手が短期移籍で名古屋に滞在しています。 移籍初戦の9日1レース グレートロードで勝利! 「短期移籍には、常々行きたいと思っていました。」 名古屋に来たきっかけを尋ねると、こんな答えが返ってきました。 「(同期の及川)烈とか、福原(杏)さん、保園(翔也)さん、みんなが短期移籍に行って、たくさん騎乗して活躍しているのを見ていました。自分も行かなければいけないなと。」 デビュー2年のこの段階での挑戦。 そのタイミングとは……? 「昨年は、みんなが短期移籍に行っていなくなっていましたから(笑)。騎乗馬があったんですよね。でも案の定、みんなが帰ってきたら騎乗馬が減りました。なので、行くなら今だなと思いました。」 「名古屋の人たちは、本当に温かくて親切にしてくれています。なんでも聞けば教えてもらえる。何かに困る、ということがいまのところないです。」 名古屋でも、レースではみんな結構バチバチしてるし、仕事場での人間関係って、難しい面もそれぞれにあるとおもうのですが……このように話せるということは、まずは短期移籍の滑り出しは順調ということなのでしょう。 名古屋での目標みたいなものはあるのだろうか…。 「具体的にいくつ勝つ、ということよりも、とにかく技術を上げるということを意識したいですね。」 この辺の心持ちって、人それぞれなんですよね。本当に。 昨年の保園騎手みたいに、具体的にいくつ、っていう数字を思い描く人もいれば、門別に行った高知の多田羅騎手みたいに、数字を気にすると本当にしなければいけないことに集中出来ない、と言い切った人もいました。 「馬を動かす、ということを意識したいですね。力量的に少し足りないと思えるような馬でも、動かして活躍させられるようになりたいです。あとはスタート。一歩目でしっかりとゲートを出すということをいまは心がけています。」 4月9日に行われた騎手紹介イベントの模様は、名古屋競馬オフィシャルYoutube映像でご覧下さい。 勝負服の下に必ずみんながまとっているプロテクター。 しっかりと「HERO」の文字がオレンジ色で刻まれていました。 最初の開催は、4日間で3勝でした。 どれだけ活躍して帰れるか。 いま、短期移籍は2ヶ月となっていますが、状況が許せばもう少し長く滞在したいという意向もあるようです。 4月11日木曜日のメインレースは、3歳牝馬の重賞・東海クイーンカップ。 グランダムジャパン・3歳シーズンのシリーズ戦だけに、遠征馬も4頭エントリー。その遠征馬たちが注目を集めておりました。(オッズは締切より前のものです) しかし……蓋を開けてみると…… 抜け出してきたのは、ニジイロハーピー(一番左の青帽) 見事!名古屋のニジイロハーピーが勝利!!(最終的には3番人気) 兵庫クイーンセレクションに続き、重賞2勝目を挙げました。 大畑雅章騎手の勝利騎手インタビューの模様は、名古屋競馬オフィシャルYoutube映像でご覧下さい。 こちらは、惜しくも2着のザオ 吉原寛人騎手 「遠征で初物づくしで、馬体減(前走比マイナス14kg)も含めて繊細なところが出てしまった感じでした。能力は感じるので、今回の経験で慣れてくれば、活躍できるのではないでしょうか。」 こちらは、高知の井上瑛太騎手。 自厩舎のウオタカに騎乗しましたが、スタートで出遅れて6着でした。 「ゲートで落ち着きがなく、どうしても突進しようとしてしまうので横を向けていないといけなくて、出遅れてしまいました。向正面で行かなければと思い仕掛けて行ったが、最後は止まってしまいましたね。距離も少し長いのかも知れません。」 今年に入ってのウオタカは、2走とも遠征で強敵相手。 でも、昨年のパフォーマンスからは、もっとやれる馬だと思うんですよね…。 今回も道中を見ると、使える脚はありそう。 どこかできっとまた活躍するのではないでしょうか。 ニジイロハーピーの今津勝之調教師(写真一番左)の話 「前走(ネクストスター中日本6着)でもカカりすぎていたので、何か策を講じないといけないと思いました。今回は、馬場に入ったあとダクで行かせて、返し馬はしないようにしました。そうしたら大人しくて、レースでしっかり走ってくれましたね。」 開業43年目の、大ベテラン。そして、名伯楽。 ゴールドプルーフでJRAの東海ステークスを勝つなど、活躍馬を手がけてきました。 そんな今津勝師の、この日の最後の締めの言葉が、とても印象に残りました。 「工夫していけば、結果が出るということ。」 取材を受ける今津勝之調教師 つい何年か前までは、自分で馬に乗って、自分で直に感じたものをもとに、馬を仕上げていました。しかし、少し大きな怪我をして、それから自分では調教には乗らなくなり、少し寂しそうな雰囲気を漂わせていた時期もありました。 しかし……そんな「新たな形」での仕事に、また張り合いも出てきているのでしょう。 この日こうしてまた一頭、タイトルを取らせました。 昨年もペップセで岐阜金賞を勝っており、これで2年連続で重賞制覇。 名古屋に取材に行くと、彼から「いま楽しみな馬」の話を聞くのが、いつもとても楽しいんです。 まだまだ、若い人たちには負けない。 経験というのは凄いものなのだなと、改めて感じさせてくれました。 名古屋のレースは、ナイターでなくても概ね「薄暮」開催。 日ごとに発走時刻も違っているので、ご注意下さいね。 今週は、また佐賀に行って来ようかなと思っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年04月17日 11時17分17秒
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