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テーマ:囲碁全般(743)
カテゴリ:【碁】勉強の記録
問題図はこちら。
白のカケに対して黒は恐るべき方針を打ち出した。 進行図1 黒2の割り込みから遮二無二突破を試みる。しかしそんなことは白の想定の範囲内で第一感では無理っぽい。そもそも白がカケで打ったのはL9などが中央の黒の死活に利いている(両アタリされている白2子が助かると黒は死ぬ)ことを織り込んだ手なのだから。案の定、黒は中央でぽんぽん抜いて厚くなったものの白15で大石は死亡。ウッカリするはずは無いのだから、そうこれは捨石作戦だ。 問題は収支。上辺がかなり黒っぽくなったものの、白が得た実利もかなりのもの。本当に黒はこれでいけるのだろうか? 進行図2 この譜で黒の深い読みが表面化する。 先手を得た黒は左辺に打ち込む。ここはヒラキが広すぎて白の弱点だった。黒7まで進んで白の薄みが露呈した。 参考図 白が左辺をまとめきろうとすればキリが手筋である。黒D6には白E6という調子である。しかし、黒2とノビ、黒4の割り込みを敢行されてみると左右の味が絡み合って白は受けが無いようだ。大石が死んでも、左辺の弱点とこの割り込み味が絡むことを見越しての捨石だったわけ。こうして表面化してからなら簡単だが、白に中央をかけられた時点でここまで見通すのはやはりすごい。 追記 黒2のノビは決めずに単に4の割り込みがよいようだ。黒2を決めるとかわされる可能性がたかい。失礼しました。 進行図3 結局白は左下を捨てた。黒してやったりの図でしょう。 途中、白5が来たとき黒6とノゾキを決めたのも洒落ている。この手の効果でH5の狙いが残った。一間飛びの隙(割り込み)をみて左辺で得をし、白が割り込みを打たせないようにしてくれば今度はノゾキで決める。味を残して狙いとし、適切なタイミングで最善の決め。筋のよい美しい手順だと思う。 黒は奥貫智策。夭逝しなければ丈和を抑えて本因坊跡目になっていただろう棋士。その才はこの棋譜からも窺い知れる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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