テーマ:ニュース(100162)
カテゴリ:仕事を離れてふと思う
刑事裁判において審理が終了すれば,判決が宣告される。大人の犯罪のすべて,及び14歳以上の少年犯罪の一部(家庭裁判所から逆送されてきた事件)が,刑事裁判で審理される。刑事裁判においても,被告人が少年ならば刑が多少軽減されている(例・18歳未満の少年は何百人の人を殺そうと死刑にはならない)。
家庭裁判所の少年事件において,刑事裁判の判決に該たるものが「処分」である。刑事事件では,有罪か無罪か,有罪ならば刑の重さはどれくらいか(執行猶予が付くか否か),という結論だ。ところが,少年事件はいささか複雑である。 刑事事件の無罪に該たるものとして,「審判不開始」と「不処分」というものがある。これらの厳密な意味での違いは省略するが,いずれも何らの処分をされないという意味では同じである。少年に非行事実(犯罪を犯した場合に限らない)がない場合に,このどちらかの決定がなされることは当然である。 刑事事件と異なる点は,仮に非行事実があったとしてもそれが軽微であって,少年の置かれている環境から,要保護性が認められない場合にもこれらの決定がなされるのである。 児童福祉法の対象となる18歳未満少年について,少年の環境等からみて児童相談所等の児童福祉機関による保護が適当だと考えられたら,児童相談所等への送致決定がなされる。例外的処分である。また,刑事裁判が相当だと考えられたら検察官送致(逆送)の決定がなされる,ということは何度も書いてきた。 少年事件において,刑事裁判の有罪に該当するものが保護処分である。これは,非行のある少年に対し,性格の矯正及び環境の調整を目的としてなされる処分である。保護観察と少年院送致に大別されるが,いずれも少年に刑罰を与えようとするものではなく,少年の改善・更正のために少年を適正な環境に置こうとするものである。 保護観察が,少年を保護司の監督下においた上で,通常の社会生活をさせる処分であるのに対し,少年院は少年を教育しなおすための収容施設である。これらの保護処分は刑罰ではないので,前科はつかないのだ。 以上,少年事件の手続きを大まかに書いてきた。現在,少年の凶悪犯罪がマスコミをにぎわせている。少年犯罪の被害家族の権利をどう守るか,ということも大いに議論されている。少年法の見直しの議論もさかんである。 次世代を背負ってたつ少年達をりっぱな人間に育てることは,我々大人の責務である。家庭裁判所も,少年の教育の一翼を担っているのだ。 ←最後にここをクリックして下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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