テーマ:ニュース(100159)
カテゴリ:仕事を離れてふと思う
商法や証券取引法のように,時代の進展に伴って次々と立法当時の想定を超えたことが起こってくる法律については,「法律の規定がどうなっているか」ということを知っておくだけでなく,「そのように法律で規定された目的は何か」(これを「立法趣旨」という)ということを知っておかないとわけがわからなくなる。
証券取引法27条の2は,会社の経営に口出し出来る程のたくさんの株を取得しようとする者に対して,証券取引所で株を買うか又は公開買い付けで株を買うかするよう義務づけている。 証券取引所での買い付けとは,取引所の会員である証券会社を通じて株を購入することであり,株式投資をしている人達が一般にやっていることである。公開買い付け(TOB)とは,ひらたく言えば,買い付け期間や買い付け価格等を一般に公開して均等な条件で株を買い集めることである。どちらの買い付け方法も,株を買い集めていることが一般投資家にわかるような買い方である。 証券取引法27条の2の立法趣旨は,思いっきりひらたく言えば,「大量の株を取得して会社を支配しようとする者がひそかに株を買い集めること禁止し,強引な敵対的企業買収を防止することにある」ということになる。つまり「株を公開している以上,会社をのっとられることがあることは覚悟しているはず」という指摘は,法律的には「そのとおり」とは言いにくい。 堀江社長の使ったToSTNeTシステムとは,東京証券取引所が株式の売買を拡大させるために設けたシステムで,ハイテク技術を使って一般投資家が手軽に株を取得できるシステムらしい。少額投資家が簡易・迅速に株の売り買いをするために出来た制度だととのことである(詳細は知らない)。 ToSTNeTシステムも証券取引所が設けたシステムである以上証券取引所での買い付けではあるが,それは少数の株の売買のために設けられたものなので競争売買の市場ではない。したがって,証券取引法27条の2の立法趣旨を考えると堀江社長のしたことは違法ではないか,ということになる。 かなり高度な法律論ではあるが,何となくおわかりいただけたであろうか。法律を全く学んだことがない人には少し難しかったかもしれない。明日の日記では,この問題について私なりの意見を書いてまとめとしたい。 ←最後にここをクリックして下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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