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     トランクルーム貝塚のオヤジ奮戦記

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2020.01.17
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日本には第1~3次産業(農業、漁業、製造業、建設業、サービス業)まで、色んな同じビジネスや同業者は沢山あります。

これが世界に広げると、これはもう無数に近い同業者があります。

かつて弊社は泉州の地場産業だった綿織物業を長年営んできましたが、同業者が昭和40年代前半の全盛期には貝塚市から岬町まで約680社もありました。

※それとは別に岸和田市から和泉市にかけては1000社も同業の綿織物業者や、泉佐野のタオルや泉大津の毛布があった。

泉州の地場産業だった繊維産業(綿織物、タオル、毛布、ニット)は、恐ろしいほど数があったのです。

貝塚市から岬町までの綿織物業者だけでも680社あったのが、現在もう「98%減」の12,3社しか残っていないようです。

たった2%しか残っていないのです。

日本でこれだけ減った地場産業ってあるのでしょうか・・・?

現在弊社は堺市以外の泉州エリアの不動産屋の約80%が加盟している「大阪宅地建物取引業協会(大阪宅建協会) 泉州支部」には約400社ほど加盟していますが、10年以内に80%が倒産廃業で脱退しているようですが、それとほぼ同数の新しい不動産屋が新規加盟するというダイナミズムに満ちた業界と言えるでしょう。

しかし弊社のように単に織物しか営んでいるところは倒産廃業に追い込まれ、残っている2%の織物業者は例外なく織物業を核として「多角化」で生き残っています。

大阪市内でビルを所有して賃貸したり、売り先の繊維商社を買収したり、サイジング工場を買収したり、ニット工場を併設したり、商社のように海外から織物を輸入したり、リネンサプライ事業も始めたり、自動車関連のメーカーを買収したり、織物工場の一部を更地にして店舗に貸したり・・・

ただイタリアの織物業者やユニクロのように(SPA)、糸からアパレルまで一貫生産して小売りまでしているところは見当たりませんねェ・・・

日本の繊維業界の流通の一部を担っているだけに留まります。

しかし、生き残りのキーワードは「多角化」です。

弊社は糸の太さが細い糸(100番手)から太い糸(8番手)まで、用途はファッション衣料から資材まで、糸の種類は綿100%からポリエステルフィラメント(長繊維)まで、糸の混率は定番のT/C(65/35)から麻混まで、タテ糸も2種類まで・・・保有織機の性能の限界までありとあらゆるオリモノに挑戦してきました。

これが1か月サイクルで切り替わり、過去に織って預かっている織物、現在織っている織物、これから織る織物(受注品)、オファーされた織物(見積中)といった4種類の織物と、それに使われる糸の種類の多さはいくらパソコンで管理していても、もう頭の中は常時パニック状態でした・・・(汗)。

夢で織物設計したり、受注した工賃が採算の乗るかどうかも計算したりする夢なんか日常茶飯事でした・・・(笑)。

これで年間355日24時間エンドレス稼働し、月産20万mも織物生産していました。

まぁ一人で営業をしながら糸と織物の受け渡しをし、現場に早出の工員として入り、文字通り「多能工」として身体を酷使し頭がパ二クル一歩手前までオールマイティの仕事をこなしていました。

と言うか、当時は「一人でどこまでできるのか(誰も助けてくれないし、誰にも頼れない)?」という自問自答の孤独な戦いでした。

死力を尽くしたというのは、正にこの事だと思います。

それこそ子供の頃から糸や反物を運んだり重いモノを持たざるを得ない過酷な肉体労働の長年の積み重ねで腰痛(ヘルニア)になり、シャットル織機の頃は夏は室温40℃湿度90%で冬は10℃の風綿が飛び交う工場環境で、また工場内の100デシベルの騒音で難聴になり・・・「もうこれ以上ムリ!」と身体も知らず知らずのうちに悲鳴を上げていたのです・・・(涙)。

そこまで努力をしても廃業せざるを得なかったのは、もちろん私の努力不足もありますが、多角化できなかったからです。

残念ながら織物だけ一生懸命頑張っても、所詮ダメだったのです・・・(涙)。

この時の教訓が今に役立っています。

「1つの事にいつまでも拘ってはダメだ(顔を上げて視野を広く)」と。

私の場合、14年前に50数年続いていた家業の織物業からトランクルームへ全面転換して「別の道」を選んだ訳ですが。

そりゃ文化芸術やプロスポーツ、老舗会社や研究職や一般サラリーマンでも「長年コレ(仕事、会社)一筋!」というのも言葉では美しいですが、世界一や日本一という超一流の人達は別にして、普通の人はそれだけでメシが食えたらヨシですが、食べていけなかったら残念ながら「副業」や「別の道」を探るしかない訳です。

二刀流・・・大いにやるべしだと思います。

ハワイ滞在中驚いたのは、多くの人が2つ3つ仕事を掛け持ちしていたのです。

ハワイは全米一物価が高いにも拘らず時給が安いので、いくつも掛け持ちの仕事をして長時間働かざるを得ないのです。

しかし、複数の仕事を掛け持ちすることによって、「順応性」が養われるという大きなメリットがあるような気がします。

定年まで趣味もなく一つの仕事しかしなかったら、定年後にすることが無いのでガクンと来ます。

ガクンと来ないように、社内で色んな仕事に携わるとか、転業するとか、起業するとか、副業するとか、趣味を持つとかすれば・・・「軟着陸」するのではないでしょうか。

端的に言えば長い人生の中で「60歳定年」を最終ゴールと見るか、単なる通過点と見るかの違いだと思います。

今大阪はインバウンド需要で沸いていますが、夜のエンターテイメントが少なく大きな機会損失をしていますので、昼と夜の「2毛作経営」でその需要を満たすべく努力をミナミやキタの人達がしているようです。

関空の地元泉州でも夜のエンターテイメントがあれば、何も観光客がミナミまで行く必要がないのです。

そこに我々泉州のミュージシャン達や地元関連業界の人間たちが知恵を絞るべきでしょうね。

ソコ、ソコなんです。

という事で、織物時代の「多能工」の経験を活かし、今トランクルームをしながら「音楽スタジオ」「卓球場」「自習室」「不動産屋」という5毛作経営をたった一人で経営していますが、何の違和感も無かったのです。

従業員を雇えば誰でも出来ますが、これを「一人でする」のがキモだったのです

織物時代のやり方を内容は変わりましたが、そのまま踏襲しているという感じですねェ・・・

なので、2020年代のキーワードは「多角化(多能工)」でキマリ。

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Last updated  2020.01.18 07:51:04
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