カテゴリ:小説情報
『何故付き纏う?』 桃は三人に不満を募らせていました とくに何をするわけでもありません ただ付いてくるだけでした 猿入は言いました 『私達の将軍になりなさい』 桃は首を傾げました 仕方がありません 出会って三日でいきなり『将軍になれ』 いくらなんでも無理な話でした 『…国を統一しようとは思わぬ』 その場を去ろうとしたときでした 『国の統一はしない 鬼退治だ』 足を止め、語りだす雉を睨みつけました 『最近各地で鬼が宝を奪っていく事件が発生しているらしい。 鬼は人間の力となり、人間は鬼の知恵となる。 鬼と人間は本来共存すべき存在なのだ。』 厭きれたのか、桃は再び足を動かしました しかし桃の前には戌井が立ちはだかっていました 『そこでだ。お前が将軍となって鬼を退治するってわけだ。』 少し大きめの戌井を見上げて言いました 『そういう面倒事は鬼の間で事を済ませるべきであろう』 『…本当にそう思うのか?』 『あぁ… だから退け』 戌井の身体を避け、再び歩き始めました すると戌井は桃の前髪を掴み持ち上げました 『イッ…離せ!!』 桃は黒い眼差しで戌井を睨みつけました 『ならばお前は鬼退治に行くべきだ』 『だから何故俺が』 『何故ってお前は鬼の子だろう』 前髪に隠れた額には 小さな二つの角らしき瘤がありました 瘤は(こぶ)と読みます お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.03.31 21:25:55
コメント(0) | コメントを書く |
|