誰が健康を守るのか
新年明けましておめでとうございます。随分更新が滞っていますが、久し振りに面白いネタが挙がってきたので一つ雑感を。お正月早々、納豆が各地で売り切れというニュースを小耳に挟んでいた。どうせみのもんたが「お嬢さん、納豆いいですよ~」なんて売り込んでいたんだろうかと思っていたが、よく調べてみると「発掘!あるある大事典II」で紹介されたということだった。まぁ、納豆自体は別に日頃から食されているものだし昨年春の白インゲン騒動のような健康被害は無いだろうと思っていたが、意外なところからボロが出てきた。番組の捏造である。週刊朝日の記者がすっぱ抜いたらしいが昨日の同番組は中止、関西テレビは社長以下が会見を開き番組内での紹介内容に捏造があったと謝罪した。内容としては納豆を食べるとDHEAが増え、ダイエットに効果的というものだったが、アメリカの教授のコメントや実際に納豆を食べ、中性脂肪値が改善したとかやせたという被験者を紹介したりしていた。週刊朝日の記者はわざわざアメリカの教授に電話をかけ、番組内でのコメントに関しては「そのようなことはいっていない」とコメント、また被験者の中性脂肪値に関しては採血すらしていないということをつかんだらしい。確かにここまでくると「やらせ」とか「捏造」とかいわれても仕方ないだろうと思う。納豆自体に罪はないのに、何ともお粗末なお話だ。昨今の健康ブーム?とやらにのっかっての番組だったのだろうが、深夜の怪しげなサプリメントを紹介するような番組ならともかく、いわゆる看板番組である。その影響の大きさは計り知れない。おそらくはこの番組を見て納豆を食べ出したり、食べる量を増やしたりした方も多いのではないだろうか?結局のところ、事実とは遙かに違う歪曲された内容が公共放送として公開された、ということである。番組作成を下請けに出したとかチェック体制が甘かったとか、そんなことはどうでも良くって、とりあえず視聴者の健康は二の次、視聴率さえ稼げればいいんだという放送局の姿勢がうかがえる。ただ、放送局側を一方的に責めていても何も始まらない。こうした歪曲は日常茶飯事に行われているからだ。先にも書いたが、深夜放送のサプリメント販売なんかで「やせた」とか「癌が治った(さすがに最近こんな誇張はないが)」なんていう内容はざらだ。画面の隅っこに「効果は個人により差があります」なんて言い訳みたいなテロップが入っているが、これも自衛のためなんだろう。結局は視聴者側が信じる・信じないの問題なのだ。深夜の番組なら「ちょっと眉唾かなぁ」と思えることでもゴールデンタイムの放送なら「きっとそうなんだろう」という思いこみが一番危険なのだ。ましてや自分の健康に被害が及ぶかもしれないことならなおさらだ。以前にもみのもんたの功罪について書いたことがあったように思うのだが、それと同じこと。「納豆がいい」「ココアがいい」「赤ワインがいい」「みかんが」「リンゴが」・・・結局、口にするのは視聴者だ。番組を信用するなとまではいわないが、盲目的に「右へならえ」的な発想はいい加減やめたほうがいい。これで死者でも出たら洒落にならない。自分の健康は自分で守る、そのためには積極的な情報収集をし、取捨選択していかなければならない。人の身体は千差万別、十人十色。誰一人として同じ身体ではないのだから、他人には良くても自分にあわないことが当たり前だと思えるくらいの余裕を持つことだ。様々な情報があふれてしまっている社会で求められるのは不要な情報を捨てる技術であり、それが自分の健康を守る手段だということも知っておいたほうがいいだろう。