兵士の信条
アメリカ陸軍には"Soldier's Creed"と呼ばれるスローガンがあるらしい。以下引用。Soldier's CreedI am an American Soldier.I am a Warrior and a member of a team. I serve the people of the United States and live the Army Values.I will always place the mission first.I will never accept defeat.I will never quit.I will never leave a fallen comrade.I am disciplined, physically and mentally tough, trained and proficient in my warrior tasks and drills. I always maintain my arms, my equipment and myself.I am an expert and I am a professional.I stand ready to deploy, engage, and destroy the enemies of the United States of America in close combat.I am a guardian of freedom and the American way of life.I am an American Soldier. 〔日本語訳〕兵士の信条私はアメリカの兵士です。私は戦士でありチームの一員です。私は合衆国国民に仕え、陸軍の大儀に生きます。私は常に任務を最優先します。私は決して敗北を認めません。私は決して諦めません。私は倒れた戦友を決して見捨てません。私は肉体と精神共に強靱に鍛え上げられ、戦士の任務と訓練において鍛錬され、熟達します。私は、自身の武器、装備、そして自分自身の整備を怠りません。私は専門家であり、プロフェッショナルです。私は派遣の準備に備え、白兵戦においてアメリカ合衆国の敵と戦い、滅ぼします。私は自由とアメリカの生活を守る守護者です。私はアメリカの兵士です。……医者の世界なんて軍隊と似たようなものだ。少なくとも僕が研修を受けていた頃はそうだった。上級医師の命令は絶対で、逆らうことなど許されなかった。答えは「はい」一つしかない。患者さんのことならともかく「タバコ買ってこい」だの「メシ買ってこい」だのどう見てもただの使いっ走りでしかないこともあったが、それが僕を苦しめるということはあまりなかったように思う。むしろ苦しめられるのは患者さんの病気のことであって、上級医師のお使いの程度とは比較にならないほどだった。上級医師がタバコを吸えなくても困らないが、患者さんが治ってくれないのは困りものだからだ。そのあたりは上級医師もわかっていて、オーダーをこなす順番は患者さんが最優先だった。優先順位としては患者さん>勉強>雑務>タバコ、ぐらいだったろうか。目指すべきものは同じ、という一体感や連帯感がそこにはあって、だからこそ厳しい上下関係でもついていけたのだと思う。総制服化や個を滅するかのような姿勢は批判されることが多いのだが、三人寄れば文殊の知恵と同じでみんなで力を合わせた結果は満足の得られるものであることが多い。研修制度が義務化されて研修医は以前のような研修医ではなくなった。親分子分というよりはむしろお客さんに近くなり、個性を大切にされるが故の弊害も出てくるかもしれない。大工さんや刀鍛冶その他諸々の「職人」といわれる職業においては今なお徒弟制度が根強く残っているが、これも技術や知識を確実に後継へと伝えるためには最適の方法だと洗練されてきたものだからだ。病魔と闘うということは戦争と同じことだ。スタンドプレイに走る者は真っ先に敵の餌食になるだろう。かといって退いてばかりでも勝ち目はない。軍隊と同じように個にして全、というスタンスが意外にも勝利を勝ち取るキーワードのような気がする。ちなみにウチの病院は兵士の絶対数が足りず苦戦している。腕利きのスナイパーばかりを擁して「一発必中」を目指しているようだが成果は今ひとつという気がする……orz。