テーマ:今日の健康状態は?(10622)
カテゴリ:うしと暮らせば♪
本日、当牧場の牛1頭が切腹いたしました。
といっても、他の牛のために詰め腹を切らされた とか、主君の乱行をお諫めせんと皺腹をかっさばいたわけでもありません。 おなか(胃)にガスがたまって、ごはんが食べられなくなり手術したのです。牛には胃が4つありますが、そのうちの第四胃が癒着などしてガスがちゃんと通らなくなる病気になったのです。第四胃変位、通称、四変(よんぺん)とよばれる病気です。 牛のあれだけの図体を載せる手術台は・・・。あるかもしれませんけど、いちいち牧場から連れて行って切るわけにもいきませんので、わき腹に局所麻酔をして、立ったまま手術します。 獣医師さんによって寝かせて全身麻酔で切る場合もありますが、今うちで頼んでいる獣医師さんは立たせたままです。しかも公の機関の勤務医さんなので、いつ転勤になるかも分からないということもあり、今回は新入りの獣医師さんが先輩獣医師さんの立会い&ご指導のもと手術してくれることになりました。 「えーーー!!ベテランの先生が切ってよーーー!」と露骨に言う酪農家さんもなかにはいるみたいですが、それではいつまでたっても後継者が育ちませんから。今日は二人がかりでの手術なので、いつもみたいにバタバタと先生の介助をしなくてもいいし。 先生が一人だと、牛の横に立っていろいろアシストしなくてはなりません。私は意外と血も内臓も見てもひっくり返りはしない性質なのでいいですが、苦手な人は大変でしょうね。 牛はいつもの自分の寝床で、鉄管で作った枠に固定され、手術開始です。人間と同じようにまずは剃毛し、局所麻酔をします。その間こそ足をばたばたさせていますが、麻酔が効いてからは側腹に20センチくらいの切開口がぱっくりあいてても、まったく普通に落ち着いた顔で立っています。 そこから獣医師さんが上腕までつっこんで手探りで癒着していた胃を戻し、ガスがちゃんと抜けているか確認して、OKとなったところであとはひたすら縫っていきます。よくテレビの医龍やら救命救急24時なんかで見たのと、ほとんど変わらない器材や薬剤です。 ただ・・・あまり時間がかかると麻酔が切れて、牛がバタバタしだすので時間との勝負でもあります。うちの牛は、1時間半程度で終わりましたが、やはり最後のほうは足をバタバタさせてました。 しかしその手術の効果はてき面で、縫い終わるころにはもう、ふつうに咀嚼、反芻してけろっとしています。とはいうものの、おなかを切っているわけですから、最初は乾牧草をメインにおなかにやさしいメニューから食べさせます。 早く回復してくれるといいなあ、うちの切腹牛。 ちなみに、牛の4つある胃は焼肉屋さん風にいうと、 第一胃・・・ミノ、第二胃・・・ハチノス、第三胃・・・センマイ、第四胃・・・ギアラ があって、第一胃と第二胃は反芻のための胃で、第三胃はひだひだがいっぱいあって(ん?だからセンマイ?)水分などを吸収し、第四胃がふつう私たちにある胃と同じ働きをするのだそうです。 今日手術したのは第四胃、ギアラで終戦後、基地などで働いていた日本人が報酬(ギャラ)のかわりにホルモンをもらっていたから、ギアラというとか。 ギアラよ、早くよくなるんだよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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