テーマ:ひとりごと(15382)
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当牧場から最寄のコンビニやスーパーに行くのに、砂利道の林道を垂直に降りていくルートがある。15分くらいで下の街に降りられるので、春から雪が積もるまではよく利用している。
その道の途中に1軒だけおうちのような、作業小屋のような建物がある。サッシ戸の玄関にはいつもカーテンがひいてあって、人気はない。だけど山から下る沢水をひいてあったり、外には腰掛けて緑を見たりできるような椅子がおいてあったりする。 風情はちょっと違うけど、私の中では『遠野物語』に出てくる「マヨイガ」のイメージである。 もともと人が住んでいたらしいので、庭にも季節の花々が咲き乱れる。雪が溶けるころにはまず黄色の福寿草が顔を出し、そして濃い桃色の山桜が咲き、今はちょうど深紅のツツジが咲いている。 そして緑のあざやかな季節を通り、紅葉が赤く燃え、雪に閉ざされる。 そこを通るたび、主のいなくなった庭に咲く花たちを見て考える。 彼女たちは誰のために咲いているのだろう。再び主の帰りを待ちながら、咲いているのだろうか。 いや、こうして私のように通りすがりの人の目を楽しませるために咲いてくれているのだろうか。 それとも、ちょっと前に流行った歌詞のように『その花を咲かせるためだけに』無心に、一生懸命咲いているのだろうか。 咲くのが、運命なのだから。 そして土に還り、また新しい命をはぐくむために。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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