テーマ:ひとりごと(15380)
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4月の末、わらび採りをしていたころのこと。いつも採っている場所を、いつものように歩いていて、ふと気になったところ。それは笹薮のおくのほう。
「ここにこれくらい出てるなら、この奥にもあるんじゃないの?」 そんな考えがふとよぎって、笹をかきわけて行って見た。と、あるわあるわ大きくて緑の濃いいい色のわらび。 夢中になって採っているうちにどんどん奥に分け入ってしまい、気がつくと藪の外側に出ていた。「あらら、えー、こんなとこあったんだー。」 そこには広~い「庭園」がひろがっていた。中央に大きな広葉樹があって、その脇のほうにバナナの葉っぱみたいな大きな葉っぱが生えている。静かで、様々な鳥のさえずりが聴こえるのみだ。 あの樹の下にテーブルと椅子をおいてお茶など頂いたら、ちょっと素敵かも・・・と思わせるような空間だ。あのへんまで行ってみたいな。 誰かが歩いた後がある。私も一歩、二歩と歩いてみた。涼しい。足の下からひんやりとした空気と感覚がのぼってくる。 と、なぜか「帰らなきゃ」という気持になって、私はまたもときた藪にはいって家への道を戻った。といっても家から1キロにも満たないところである。こんな近くにあんな場所・・・なんで知らなかったのかな、またいつか行ってみよう・・・そんなことを考えながら帰った。 「ほら、こんなに採れたよ。」と牧場主に本日の収穫を見せて自慢しながら、私は今日見た「庭園」の話をした。 「あそこはどこの土地なんだろ?」 「え?・・・笹薮の向こう?」 「そうそう、ひろーいお庭みたいになってたよ。どこの土地?○○さん?(隣家)どっかの社有地?」 「・・・沼だよ。」 「いや違うよ。広かったよ、平で。樹も生えてたし。」 「だから、沼だよ。その向こうって沼だべよ。続いてるの。」 「え、じゃあ・・・だから足の下、冷たかったのかなあ」 「そうじゃないの。その歩いたところって、葦が堆積したとこじゃないの。」 「えーーー!じゃあ・・・危なかったねえ、私。」 「よかったなあ、帰ってこれて。・・・これからはちゃんと『わらびとりに行ってきます』ってホワイトボードに書いていってください。」 「・・・はい。」 あの素敵な空間は、なんと葦が堆積してできた沼の上の庭園だったのだ。「バナナの葉っぱ」に誘われて、あっちまで歩いていっていたら・・・どっかでぼちゃん、と沈んでいたかもしれない。 21世紀に生きているはずなのに、なんだか伝説の世界に生きているような私の暮らす半径2キロ。 そういえば昔、友人と鎌倉に行ったとき『ずいどう』に手招きされてたまらなく入ってみたくなり、友人に「こらっ、そっち行っちゃだめっ!」と、引き戻してもらったっけ。 あぶない、あぶない・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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