テーマ:お国ことばで話しませんか♪(6)
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牧場の仕事といえば、皆さんはどんな光景を想像されるだろうか。牛にえさをやり乳をしぼり、子牛にミルクを与える・・・そんな感じだろうか。
1ヶ月ほど前、乾牧草をロールしてラッピングしている風景をご紹介した。そして数ヶ月、発酵し牛たちの食卓にのぼるのだ。が、その後ラップはいったいどうなるのかなんて考えたことはおありだろうか。 酪農は産業なので、当然そこから出るゴミは産業廃棄物である。ラップもしかりで、一定量たまったラップはゴミ処理場に持って行き、お金を払って処理してもらう。当牧場ではだいたい半年で1.5トンくらいになり、15000円ほどになる。 昨日はその処理をしてもらうためにダンプにラップの積み込み作業をした。朝ごはんの片付けをしていた私より先に牧場主が積み込み作業をしていたのだが、明らかに後姿の様子が変である。完全に及び腰になっている。 「どうしたの?」と聞く私に、涙目の牧場主は一言「ヘビが・・・」 牧場主はヘビが大の苦手である。子供の頃、ヘビと同じ方向に逃げてしまったことですっかり苦手になったらしい。だがどう見ても、ヘビがこわいようには見えない図体の牧場主。そこがまたなんともおかしい。 ヘビはへびで、堆く積み上げられたラップの中に身を滑らせて、静かに寝ていたところを起こされて「もお!なんだよお!」といいたいところだろう。一旦は逃げていったが、またどこからともなく入り込んでいて、その後も2回ほど顔を出した。 そのたび牧場主はというと、ぴょんと後ろに跳びのき、いつの間にか私のほうが前になっている。「もお!私の後ろに行くってどういうことだよ!」と思いながら作業していると、牧場主のぶつぶつが聞こえてきた。 「大丈夫、いないってことはわかってる。でも、でももしいたら・・・」 「子供かっ!」 大きな体でもヘビとおばけがだめな人である。おばけのほうは小さい頃見たテレビ「八犬伝」の玉梓が怨霊の怖い記憶以来だめらしい。・・・我が家では風鈴も禁止である。 なぜかというと「(風鈴の音に乗って)なにか出てきそうだから。」・・・なにかって、なんだよ。 たとえなにか出てきても、きっと出てきたほうが後ずさるようなルックスの牧場主である。 怖がるといえばここ数日、我が家の愛犬チョコ君もうちの前の道路というか、道路を挟んだ畑のほうを見て吠えっぱなしで、小屋に入れるために引っ張ってきても道路のほうに引っ張ると「やだっ!そっちには行かないっ!」とお尻をぺたんとついて後ずさりする。 だけど私たちにはこれと言って何も見えない。しかしチョコは「見えざる何者か」に向かって必死に抵抗する。察するに狐やたぬきや熊の類なのだろうが、あまりに必死でこっちが怖くなる。 もおチョコってば、いったい何が見えてるんだよお! 普段あんなやんちゃ坊主のチョコにも、大柄で怖いものなどなさそうな牧場主でさえ、怖いものってあるものだ。 ・・・私の怖いものは・・・と考えてみた。おばけも意味が理解できれば、ものすごく怖いわけでもない。たとえば食べ物を粗末にしたら、もったいないおばけが出るとか。気持を残しているから幽霊になって現れるとか。 狐やたぬきや熊も、遠くで見ている分には大丈夫だし、彼らのテリトリーを侵したり子供にちょっかいを出さないかぎりむやみに攻撃されたりしないと思う。 じゃあ何だ、私の怖いもの・・・。なかなか思い浮かばず、牧場主にきいてみた。 「ねえねえ、私の怖いものってなんだろう?」 「・・・ポッ○コーヒーじゃないの」 ああ、はいはい、そうかもしれない。ポッ○コーヒーに限らず、俗にいうオリジナルと呼ばれるお砂糖がどっさり入っていそうな缶コーヒーとか、とにかく「ごくあま」コーヒーが苦手というか、怖い。 「饅頭怖い」のそれとは違う。真剣に怖い。まだここに来たばかりの頃、挨拶まわりに行った先のおばあさんがコーヒーを入れてくれた。500mlも入ろうかというような超特大マグカップにカレーとか食べるスプーンで山盛りのお砂糖を2杯入れて。 その前から苦手だったけど、それで決定的に「おびえる」ようになった。義父母はいまだにブラックコーヒーを旨そうに飲む私を見て「うまいすか?」と不思議顔である。 なんだかんだいって、私の怖いものが一番「は?そんなもの?」って感じ・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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