テーマ:「愛」・「命」(2793)
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先日、ポストに私宛のプレゼントが届いた。タダ券である。コンサートとか美術館の鑑賞券とかなら「ひゃっほー!」と小躍りしてしまうところだが、ちょっと違う。
乳がん検診無料クーポン券、子宮頸がん検診無料クーポン券である。いや、もちろんこれも嬉しいけど、ちょっとびっくりした。こういうのも「クーポン券」ってあるんだなあと。 なんでも平成21年度に国が指定する特定の年齢の女性に、補正予算でプレゼントされたものだそうだ。前年度に20、25、30、35、40歳になった女性は乳がん検診が無料、40,45,50,55,60歳になった女性は子宮がん検診が無料。そしてなんと私みたいに40歳の女性はどちらもタダで検診を受けられるというわけだ。 せっかく国の予算を使って「無料で受診できますよ」って言ってもらったのだから、この機会にきっちり検診を受けてこようと思う。 先日、ロック歌手の川村カオリさんが乳がんで逝去した。38歳という若さだった。一度は完治したものの、再発、転移して闘病の末、旅立っていった。7歳になるひとり娘を残して逝くのはどんなに心残りだったろうと思う。 彼女が生前がんと闘い、旧渋谷公会堂でライヴを開くまでの日々を追った番組が何度か放送された。薬でむくんだ顔、歌うだびに痛む骨、そんな身体を引きずって歌い、娘との残された時間を紡いでいく。だけど彼女はいつもまっすぐだ。 そんな彼女が自分の余命を告げられたとき、流れる涙と少しの沈黙のあとに言った言葉。 「私にはもう時間がない。でもそのなかで、何を残してあげられるかだと思う。もちろん娘にもだけど、ほかの人達に対しても。」 平手でほっぺたをひっぱたかれたような気持になった。「何を残せるか」・・・そうか、そうだよね。自分に何が残るかじゃなく、自分には何が残せるか・・・なんだ。 ここ何ヶ月か、私はあるひとつの考えにとらわれていた。 この生活の果てに、いったい私には何が残るのだろう・・・という。 自分が強く望んで夢見てはじめたわけでもない仕事をして、子供がいるわけでもない。旅行に行ったり、一日中のんびり買い物したり、眠ったりできるわけでもない。そうして親を見送って、自分ももっと年をとって・・・その頃の自分に何が残っているのだろう。 そんなことばかり考えていた。夢見る気持や、挑戦する気力に年齢は関係ないというけれど、どうしても「しぼりかす」みたいになった自分しか思い浮かばない。そんな毎日だった。 だけど「自分が何を残せるか」ということに頭を切り替えてこれからの毎日を生きるとしたら、忙しくて身も心もタフでなければならない日々が待っている。 それでまず今、自分がどうなるのがよいのか考えた。で、出た結論。 「健康になろう」ということ。今より少しでも健康になれば、いろんなことに頑張りがきくし、発想も豊かになるような気がする。 それに何より自分がずっとしたかった生き方に繋がっている。 私は自分が死んだとき、まだ使えるところがあればすべて使ってほしいとずっと思っている。「臓器提供」したいということで、カードも記入して持ち歩いている。「誰かの役に立ちたい」というと素晴らしいのだろうが、実のところ「まだ使えるなら、使わなくてはもったいない」というのが本当の理由である。 となれば、自分の健康に気を遣うことによって、ひとつでも提供できるような臓器が増えればさらにいい。 川村カオルさんに私は「何を残せるか」という宿題をもらった。私にはこれからどのくらい時間が与えられているのか分からないけど、自分が残せる何かを探していこうと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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