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今日は中秋の名月。岩手は昨日まで雨だったが、今日は晴れて風が気持ちいい。
日本には月を愛でながら、お茶をたてたり、一献傾けたり、またはお団子を頬張ったりする「お月見」という風流な慣わしがある。 今宵も沢山の人がきっと、同じ月を眺め、それぞれの想いにひたるのだろう。 私がまだ若くてお勤めをしていた頃、同じセクションの女性だけでお月見しようという話が持ち上がった。 せっかくなので月を見ながらお食事もしよう。まだあたたかいから花火もしよっか。BGMは欠かせないよね。・・・なんて何日も前から計画をたてて、それぞれ分担を決めた。 ちなみに私はBGM担当。CDレンタルから流行の曲を沢山借りこんで、オムニバステープを作り、ラジカセ持参のこと。 当日は頑張って就業時間内に仕事を終えて、残業なしで近くの河川敷の公園に向かった。 お月見会場設営部隊はレジャーシートを敷いたり、食材買出し部隊は近くのスーパーからお値打ち、お買い得品をたっくさん買いこんできたり。ラジカセも準備OK。花火も用意周到。 時々ブログに登場する I さんは大きなバケツ一杯のススキを採ってきてくれた。 だがしかし、そのために I さんはイネ科アレルギーであることが判明。くしゃみ連発の大変なお月見会になってしまった。 主役も揃っていよいよお月見開始だが、腹が減っては戦は出来ぬということで、さっそく海苔巻きやお稲荷さんや、オードブルをぱくぱく。 わいわいおしゃべりしながら、箸もすすむ、すすむ。楽しい。お月見はこうでなくっちゃ。 だけど何だろ、この「何かが足りない感」は。 そのうち誰かがぼそっと言った。 「月、なかなか出ませんね~。」 あ、そう言われてみるとまだお月様を見ていないな。以外と月って出てくるの遅いな。 ま、そのうち出てくるさ。さあて、花火でもしますか~♪ みなとっくに成人を過ぎたレディーではあるが、花火はやっぱりいくつになっても盛り上がる。派手な噴水みたいな花火にキャーキャー騒ぎ、線香花火に今年の夏のせつない恋をだぶらせ(た人がいたかどうかはわからないけど)・・・。 ひとしきり花火で遊んだ後に、また誰かがつぶやいた。 「それにしても、月、でませんね~。」 「あ、もうけっこうこんな時間なんだ。月、どこをほっつき歩いてんのかねえ。」 ・・・・・・。 ちょっと沈黙があって、みんなひとつの「もしや」と「まさか」に思考が一致した。 「えーと念のために・・・。今日ってもちろん満月だよね?」 「ちょっと待ってよ・・・。ええと、先月の満月がこの日だったから・・・。」 と、指折り数えていた指がピタリと止まった。 「今日・・・新月だ・・・・。」 「えーーーーーーーっ!!」 皆死ぬほど笑った。誰も気がつかなかった。今日が新月であることを。 三日月でも、半月でもなく、月がまったく見えない新月の日をわざわざ選んでお月見していたということを。 「もー、一人くらい気付けよー!」 「O型も半分くらいいるけど、A型もB型もいるんだから、気付けよ!もう!!」 なんて、仕舞いには血液型のせいにしながら大笑いである。 この新月のお月見会は、私たちの間で今でも伝説として語り継がれている。 その頃まだ一緒に働いていなかった癒しのSさんや、女っぷりを磨いているMちゃんなんかは 「その場にいたかった~!」 と、口惜しげに言い、そしてゲラゲラ笑う。 そう、ということは 暮らしを楽しむ達人 I さんと五線譜の申し子Mさんは一緒に「新月のお月見」を楽しんだレジェンド・メンバーである。 でも楽しかったあのお月見。またいつかあんな風にワイワイお月見したい。 もちろん今度は、ちゃんと満月に。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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