カテゴリ:うしと暮らせば♪
私がもっと若かった頃、友人のMさんにすすめられて(というか本をお借りして)読んだ大好きなマンガ。その名も「動物のお医者さん」 私たち酪農家になくてはならない、お世話になりっぱなしの存在。それは獣医師さん、つまり動物のお医者さんである。 牛の病気の治療から、授精までこなす。難産なんていうと、夜中だろうが朝方だろうがおかまいなしに叩き起こされる。(というか、たたきおこすのは私たち・・・) 当地区は開業の獣医師さんから、共済組合や農協に所属している獣医師さんからいろんな方が来ていて激戦区。当然、性格もいろいろである。 どんなときでも嫌な顔をせずに来てくれる人もいれば、時間帯によっては露骨に機嫌の悪くなる人もいる。「先生」と呼ばれ続けてそれに慣れちゃってる感じの人もいるし、腰の低い人もいる。 最近、当牧場に来てくれている獣医師さんは「真面目を絵に描いたような」とはまさしくこういう人のことを言うのだろう・・・という感じの人。 たぶん線をひくとき、私みたいにフリーハンドで引くなんてことはしないだろうな。 下書きを無視して、そのときのバランスを見てどんどん書く・・・なんてことはしないと思う。 そんな人。でも、堅苦しいだけの人でもない。 治療でも難産でも、時間が多少遅くても嫌な顔ひとつせずに来てくれる。「難産です」なんて電話したあとで、なんとか子牛をひっぱりだせてしまっても、それはそれでよかったと言ってそのあと丁寧に母子の様子を観察し、必要ならばその場で治療してくれる。 やむを得ず留守しているときでも、ホワイトボードにその牛の情報を書いておけば一人で治療して、その内容を丁寧に書いて残しておいてくれる。 自然分娩してた子牛をペン(子牛のおうち)に入れておいてくれたこともあった。 治療した牛のこともよく覚えていて、後日他の治療で来たときに様子を見てくれる。 そして胸のポケットから手帳を出して、牛の番号や状態や治療の内容をきちんとメモする。 そんな人。 そんな人に出逢ったのは、何十年ぶりだろう。(というか、いままでいったいどんなのと出逢っていたのだろう) 毎日の仕事を丁寧にこなして、その小さな断片をひとつひとつ積み上げて自分の腕を磨き、往診先を開拓している・・・あたりまえのことと言ってしまえばそれまでだけど、そのあたりまえのことがなかなか出来ないんだよなあ。 そんな動物のお医者さんが縁あって当牧場に来るようになってから、私は今までの自分の生き方に反省しきりな毎日である。 いいかげんで、てきとうで、自分の置かれた環境の中で、どんどんいろいろあきらめてしまっていた毎日。 その仕事ぶりを見るたびに、「ああ、これが仕事をしているってことだよなあ」と痛感する。 まじめって、かっこいい。コツコツやってる姿って、かっこいいよ。 いつもありがとう。 これからもよろしくね、動物のお医者さん。 そんなまじめな獣医師さんに、最近繁殖(授精)の治療をお願いしている。 「そしたらですね、明日は朝いちで種付け(授精)に来ますので。」と獣医師さん。 「朝いちって、あの、獣医さんの朝いちって何時ですか?」 「あ、というか、逆に何時から牛舎にいらっしゃいますか?」 うええええ、何時に来るつもりなんだよお 「あ・・・と・・・ま、6時くらいには」 「あ、分かりました。あ、6時前には来ませんから大丈夫ですよ。お仕事中だったら、一人でも大丈夫ですから。」 「はい、お願いします。が、頑張って目覚ましかけて起きますから。」 あはははは・・・といつものように人懐こく笑って、獣医師さんは帰っていった。 さ、携帯と、置時計と、テレビのオンタイマー、総動員でセットして、早く寝なきゃ。 明日は朝いちで、動物のお医者さんがやってくる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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