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人間の間では、盛んに叫ばれている予防医学。普段の生活を見直し、定期的に検診を受けたりこまめに身体をメンテし、ケアすることが、結局は病気を一歩手前で食い止められる・・・という考え方。 人間に限ったことではありません。 牛とてしかり。 牛も何十年か前までは、自分の飼いかたと自分の厩にあわせて、そこで病気になったものについては治療したり、もしくはあきらめる・・・というのが一般的だったようです。 しかし今は「カウ・コンフォート」と言って、牛の環境からまず見直し、可能な限り設備や飼養管理を考えて牛が快適に過ごすことで牛の健康を保とう・・・という考えが主流です。 以前のやりかたからしたら、当然積極的にいろいろなことをするのでコストもかかります。 たとえば削蹄・・・牛はあの体重(600~800キロ)を四つの蹄で支えて立っています。 その蹄が伸びたり、潰瘍が出来たりすると、牛は自分を支えられなくなります。 結果、エサを食べられない、搾乳できない・・・最悪の場合は廃用となります。 そうならないために年に最低1回、可能なら2~3回削蹄するのです。牛を固定し、何十頭もいる牛を削蹄するには時間もかかるし、1頭何千円とお金もかかります。 だけど、蹄の病気の予防として削蹄という『投資』をしておくことで、牛は健康を保ち、あとで病気になって何日も治療して大枚をはたく・・・なんてことが回避できます。 最近は削蹄というだけでなく、整蹄といって、その蹄が悪くなった原因を考え、獣医師さんとも連携をとってトータルでメンテナンスしようという削蹄師さんもいるそうです。 エサの中の栄養バランス、寝床は寝起きがしやすいか・・・など様々な観点から蹄をみていき、必要に応じて獣医師さんに飼料設計の指導や予防の段階での処置なんかをしてもらうわけです。 こういう考え方は、私も大賛成です。 人であれ、牛であれ、ちょっとのところをケチったり、治療や指導に時間がかかるから・・・なんて屁理屈を並べてこじらせてしまうのは、愚の骨頂。 それは家族や飼い主の勝手な理由。そんなので体調を崩していく人も牛もたまったもんじゃないですよ。 私はずぶの素人が牛飼いしているのをいいことに、獣医師さんであれ、削蹄師さんであれ、はたまたエサやさんとかでも、当牧場にきた人にはいろんなことを聞き倒します。 「うるせーなー」と思っている人もいるでしょう。 逆に、真剣に噛み砕いて説明してくれる人もいます。 あっちからも、こっちからもいろいろ『牛を快適に健康にする方法』を聞いて、当牧場で可能なまねできそうなものをピックアップして取り入れます。 ある程度の投資は、結果、自分のためにも牛たちのためにもなります。 年2回の削蹄。 換気扇を使って、真冬でも空気の入れ替え。 草も配合飼料もまんべんなく食べられるようにすべて刻んで混ぜて食べさせる。 ある程度年のいった牛のお産のときには、カルシウム剤を2~3回投与する。 全頭繁殖の管理を獣医師さんにお願いして、総合的に指導してもらう。 いろいろやってみています。 次に私が目論んでいるのは、ワクチンの全頭接種。 これも多少・・・いやけっこうコストがかかりますが、他県ではもう常識になってるところもあるやに聞きます。 人間が三種混合とかインフルエンザとかの予防接種をするのと同じ、いろんなウイルスの感染から牛を守るようにするのです。 牛は一頭が感染したからといって、人間みたいにマスクしたり、完全に隔離したりするのは難しいです。まして年に必ず一回お産するので、おなかのなかで感染して生まれてくる・・・なんてこともありえます。 今ようやく、当牧場も乳量が増えてきて、後継牛もある程度確保できてきました。 そんなとき、予防接種をケチったがために病気で倒してしまったら泣くに泣けませんから。 予防ですから・・・病気にならなきゃそれでいいのですから・・・。 なんかお金だけかかったような気がしたとしても、予防ってそういうものですから。 みなさんもこじらせてからでは遅いですよ。 予防です。 あなたもですよ、toughgirlさん!! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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