テーマ:楽天写真館(356127)
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この季節になると、どうしても見に行きたくなる桜。 今はない、実家への帰り道にある坂道の並木。 春は出会いと別れの季節というが、私にとっては旅立ちを見送る月だった。 三月の末から今月までに、牛の飼料の関係でお世話になっているところの社長さんが二人。 地域のお年寄り、牧場主が集乳の仕事で一緒だった方のお父さん。 そして、遠縁のおばも、一週間ほどまえに天国へと旅立っていった。 ふたりの娘さんに手をとられ、次女の自宅で、静かに安らかに眠りについた。 血のつながり自体は遠いけれど、おばにはとてもお世話になった。 ふたいとこのおばと母は、本当の兄弟みたいに育った。 私も高校を卒業したあと、下宿させてもらったこともある。 おばは、べたべたと猫かわいがりする人ではなかったけれど、その言動の底にはいつも愛情を感じた。 母のことも、本当の妹のように思ってくれて、ずっと心にかけていてくれた。 火葬場、斎場、どこへ向かう道すがらも、あちらこちらに桜が咲いていた。 白に近い桃色、濃い紅色、さまざまな桜が、風に揺れている。 一人暮らしをしていたおばを呼び寄せ、10年一緒に暮らして、最後の一年は介護にあけくれた娘のKさんが言った。 「病院で余命を告げられて、そのあとはなんだかいつも気忙しくて、桜が咲いてても、用足しのついでに見上げたりするくらいのものだった」 そのKさんにも、葬儀に参列した人たちにも、そして、私にも。 おばは、お花見させてくれた。 早くにご主人を病気で亡くし、娘ふたりを育てあげ、まわりの人たちにも心をくだき、目を配っていたおば。 傍目には、苦労のたえない人生だ。 けれど、ぐっすりと眠っているかのようなおばの顔をみたとき、 生き抜いて、終わってみなければ、その人生がどうだったかなんてわからないのだ、と思った。 おばちゃん、うちの母も先に行ってるから、あっちでもまたよろしくお願いしますね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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