カテゴリ:日本文学
沈まぬ太陽(1(アフリカ篇・上)) ≪あらすじ≫ 広大なアフリカのサバンナで、巨象に狙いをさだめ、猟銃を構える一人の男がいた。 恩地元、日本を代表する企業・国民航空社員。 エリートとして将来を嘱望されながら、中近東からアフリカへと、 内規を無視した「流刑」に耐える日々は十年に及ぼうとしていた。 人命をあずかる企業の非情、その不条理に不屈の闘いを挑んだ男の運命―。 人間の真実を問う壮大なドラマが、いま幕を開ける。 沈まぬ太陽(2(アフリカ篇・下)) ≪あらすじ≫ パキスタン駐在を終えた恩地を待ち受けていたのは、さらなる報復人事だった。 イラン、そして路線の就航もないケニアへの赴任。 会社は帰国をちらつかせ、降伏を迫る一方で、 露骨な差別人事により組合の分断を図っていた。 共に闘った同期の友の裏切り。 そして、家族との別離―。 焦燥感と孤独とが、恩地をしだいに追いつめていく。 そんな折、国民航空の旅客機が連続事故を起こす…。 沈まぬ太陽(3(御巣鷹山篇)) ≪あらすじ≫ 十年におよぶ海外左遷に耐え、本社へ復帰をはたしたものの、 恩地への報復の手がゆるむことはなかった。 逆境の日々のなか、ついに「その日」はおとずれる。 航空史上最大のジャンボ機墜落事故、犠牲者は五百二十名―。 凄絶な遺体の検視、事故原因の究明、非情な補償交渉。 救援隊として現地に赴き、遺族係を命ぜられた恩地は、 想像を絶する悲劇に直面し、苦悩する。慟哭を刻む第三巻。 沈まぬ太陽(4(会長室篇・上)) ≪あらすじ≫ 「空の安全」をないがしろにし、利潤追求を第一とした経営。 御巣鷹山の墜落は、起こるべくして起きた事故だった。 政府は組織の建て直しを図るべく、新会長に国見正之の就任を要請。 恩地は新設された会長室の部長に抜擢される。 「きみの力を借りたい」。 国見の真摯な説得が恩地を動かした。 次第に白日の下にさらされる腐敗の構造。 しかし、それは終わりなき暗闘の始まりでしかなかった…。 沈まぬ太陽(5(会長室篇・下)) ≪あらすじ≫ 会長室の調査により、次々と明るみに出る不正と乱脈。 国民航空は、いまや人の貌をした魑魅魍魎に食いつくされつつあった。 会長の国見と恩地はひるまず闘いをつづけるが、政・官・財が癒着する利権の闇は、 あまりに深く巧妙に張りめぐらされていた。 不正疑惑は閣議決定により闇に葬られ、国見は突如更迭される―。 勇気とは、そして良心とは何かを問う壮大なドラマ、いよいよ完結へ!。 「白い巨塔」「華麗なる一族」を書いた山崎豊子の大作。 「華麗なる一族」をTVでみて、 企業の裏側と人間模様を織り交ぜたストーリー展開に興味を持ち読んでみました。 「華麗なる一族」と同様に「沈まぬ太陽」も企業の裏側と人間模様を中心とし、 実在する飛行機会社(JAL)をモデルにした実話とされている。 小説の冒頭には 『この作品は、多数の関係者を取材したもので、登場人物、各機関、組織なども事実に基づき、 小説的に再構築したものである。』とある。 皆さんはJALに対してどのようなイメージを持っているだろうか? JALカード会員でもある私の場合、 ・元は国営の航空会社だから安心(たぶん何があってもつぶれる事はないだろう) ・一時やたらと故障やら経営の問題が多く、ライバル会社ANAに水をあけられている ・なぜかたくさん組合がある。 ・そういえば昔、御巣鷹山でかい事故があったなぁ とまあ、この程度の認識でいつも飛行機に乗っており、 どちらかというとイメージは良いほうです。 (まあ、航空会社ってイメージ悪くなったらそもそも乗らないけどね) そんな私は特に考えもなく、山崎豊子の大作としての認識で読書スタート。 物語の舞台はアフリカのサバンナ。 あれ?JALの社員なのにアフリカ? そんな疑問からスタートしていく。 そこから、読めば読むほどになぜこの社員がアフリカへ左遷させられたのかが解き明かされ始める。 組合と会社側との争い。 会社側が作った組合と旧組合の争い。 そうか、それで組合がいっぱいあるのか。 会社側の不当な差別人事の数々。 そして、あの悲惨な事故。 え、あの事故は起こるべくして起こったんじゃないの? 事故後の改革。 しかし、そこに立ちはだかる官僚的な組織。 うーん、今の社保庁みたいな状態なんだろうな、きっと。 結局、政治の強い圧力が加わり、改革は中途半端に終わる。 読了。 おいおい、じゃー今俺が乗ってるJALもこの体質のままかい! 実際、この小説が連載されると、JALはその掲載雑誌を機内販売しないという、 大人気ない行為に出たことも判明。 JAL会員にはへこみまくりの作品でした。 しかし、「華麗なる一族」的な企業の裏側や人間模様の描写はさすが。 一方で、山崎豊子の取材方法が公平でなく偏って書かれているという批判も多く、 本の内容全てを鵜呑みにすることは危険だが、 JALの体質というか、隠された歴史みたいなものを感じれました。 現在、映画化も検討されているそうです。 この本のオススメ度 ★★★★★ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.02.03 11:39:24
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