カテゴリ:考察
●どんぐり倶楽部の糸山です。2021年から、どんぐり倶楽部では、させない幼児教育の5年間を下記のように変更します。35年間考察してきた結果です。
【させない幼児教育の内容】 2000年〜2020年の学習相談の結果、学力低下は回復どころか、低下よりも酷い、崩壊に向かっていると思われる事象が頻発していることがわかった。家庭での保育と教育が放置状態にある(特に意識せずに現状に流されている状態の家庭環境である)と、本来ならGolden-Ageを使って、視考力を、自然に稼働できる状態になる(つまり、5才からどんぐり問題に取り組めば次のステージに自然に移行できる)のだが、現状では、マイナス要因が意外にも多すぎて、自然には稼働しない(マイナス要因が多過ぎる教育環境にある)と判断される。 つまり、これまでの「させない幼児教育」では、環境設定が甘かったということだ。だからと言って、何かをさせる事は不要であるが、次の点を意識して家庭で環境設定を意識的に行わなければ、視考力の稼働そのものが難しいとの結論に達した。 0-5才の5年間は、5-6才の1年間を視考力稼働期間であるGolden-Ageと捉えて、視考力稼働準備期間と考える。つまり、させない幼児教育の実態は、視考力稼働準備用の5年間と考えて接する。こうすることで、絵が苦手とか、描くのが面倒とかという、致命的なマイナス思考を排除できるようにする。 手を動かし、絵を描き、絵で会話をする(意思の疎通を楽しめるようにする)ことを、明確に意識して保育にあたる。すると、会話も描写的になり、生活もゆっくりになり、味わい深くなる。そこに活路を見出すのだ。 知的系統的早期教育をしている場合ではない。 【補足記事】 フラッシュカードは逆効果? 「保育ナビ」10月号のエッセイより 汐見稔幸先生のエッセイを抜粋する。 汐見先生は東京大学名誉教授を経て、現在、白梅学園大学学長で、専門は教育学、教育人間学、育児学。臨床育児・保育研究会等にも参加。国策決定に影響を与えるメインメンバーです。 「保育ナビ2014年10月号64~65ページ」 日本の幼稚園、保育所などで1980年代から使われ始めた教材として「フラッシュカード」が ある。早期教育の教材としてよく使われているものだ。例えば、4、5歳の幼児に難しい漢字 を書いたカードを瞬間見せてすぐに次のカードに移っていくのだが、その瞬間に「バラ」と か「サクラ」とか、読み方を当てていく。 実際にやっている場面を見ると、子どもたちがどんどん憶えて、パッパと答えていくので驚 く。2、3歳で行っている園もある。 早期教育は、このように上手にパッパと刺激を与えてやればよいのだということで、よく使 われているのがこのフラッシュカードだ。 ところで、こういう教育を受けた子どもたちが、その後、知的にとても優秀になっていった ということを実はあまり聞いたことがない。以前、ある個別のドリル型学習を提案している 塾で幼児期に高校までの教材を終えてしまった子どもたちのその後を追った本が出たが、そ の子たちの多くが様々な課題を抱えてしまっていたことが明らかになった。フラッシュカー ドにはそうした弊害はないのだろうか。 そう思って調べてみると、同じ問題意識で調査を行っている人も世界にはいるということが わかった。例えば、脳科学者の澤口俊之氏は自身のブログで、 「(1)フラッシュカードをしていて、その能力が高い幼児(6歳児)ほど、反応抑制・自己制御 力が低く、衝動性・多動性の程度が有意に高い(その相関はこの種の調査ではかなり強く、有 意水準も1%以下である)。(2)フラッシュカード能力が高い幼児(6歳児)は、ToM(心の理論) をもたない傾向が有意にある。」 ということを発見した研究があると報告している。ToMというのは「心の理論」といわれて いるもので、要するに他人がどう考えているかを察する心の働きのことである。この機能が 不十分だと、他人がいろいろなシチュエーションであれこれ思うことを的確に想像すること がうまくできず、社会性が弱くなる。他にも批判的な研究結果が特にアメリカでいくつか出 ているが似た内容になっている。 どうしてフラッシュカードを早くから熱心にやると、反応抑制や自己制御力がうまく発達し なくなるのだろう。 考えられるのは、脳のシナプス回路(神経細胞同士の目的に沿った結びつき)の問題だ。 最近の研究で、シナプス回路は、経験によってどんどん増えていくのではなく、逆に必要の ない回路を刈り取って、ある目的にそった行為ができやすくなるようにしているらしいとい うことがわかっている。シナプス回路は1歳半頃に数がピークになり、その後無駄なところが うまく刈り取られて、合理的で流れやすい回路ができていくということがわかってきてい る。フラッシュカードを幼い頃にどんどんやると、脳回路がそれに合わせて刈り取られてい き、フラッシュカード的にパッパという反応はできるが、じっくりとあれこれ考えて選択し ていくという思考の回路の形成が妨げられやすくなる、ということではないかと思われる。 じっくり考えるというのは、ああでもない、こうでもない、こっちを選択すると○○はでき るが、逆に△△は困難になるかもしれない・・・・・というようなことを粘り強く考えるこ とで、そのための回路が刈り取られて、粘り強い思考回路がうまく形成できなくなる。 心の理論が育ちにくいというのもそういうことと関係があるのかもしれない。ともかく考え ておかねばならないことだと思う。【抜粋終わり】 https://blog.goo.ne.jp/izumikinder/e/f554e684321ed7a462e9b71745f9b946 どんぐり倶楽部では、1985年の設立当時から35年間も、注意喚起してきた事であり、原因解明や理論的説明とともに、実証記録の開示、更には修正方法の具体的な手法の提示、これらの全てをも公開してきた。もう、後がない。学力低下は、回復できない崩壊時代になっている。不安を煽っているのではない。自分のお子さんで確認してみればいい。原型思考回路が弱いのではなく、もはや、作られていない状態になっていたのだ。迂闊だったと言ってもいいだろう。今でも、子供達を見ていて、能力があるのはわかっている。だから、大丈夫だと思っていた節がある。しかし、能力は使えるように育て上げなければ消えてしまうのだ。それが、環境適応という人間の進化方法なのだから。 そろそろ、その限界を超えてきているという事だ。オゾン層の破壊が限界を超えると予測通りのことが起こることと同じ事なのだろう。 自力での理解力と思考力が育っているのかどうかは、頭の健康診断で分かる。 修正方法も書いてある。するかしないかは、家庭次第だが、子供達は、私達人類の未来そのものである。政治や宗教や人種に関係なく、人類の未来なのだから、健全に育ってほしい。 どんぐり倶楽部 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年05月21日 06時16分52秒
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