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テーマ:ミステリはお好き?(1495)
カテゴリ:読んだ本(ミステリ・日本)
古川日出男の「アラビアの夜の種族」(2001)を読んだ。非常におもしろかったのだが,この本,カバー絵で「ちょっと損」をしているのではないかと思う。 タイトルとカバー絵から,アラビアンナイトのそれもエロス過剰な話を連想して手にとるのをためらってしまう人もいるのではないか? ついそんなことを思わせてしまうような表紙だが,実際の中身は,極端ないい方をすると,本に憑かれた人間たちの世界が描かれ,読んでいるうちに自分も本に憑かれてしまう,そのような作品なのだ。 「本に憑かれた人間」というのは,いわゆる古書蒐集マニアのことではない,本を読むことあるいは書くことに憑かれた人間のことである。 また,「夜の種族(ナイトブリード)」という言葉自体,普通に連想されるのとは全く異なった意味をもっていることが,読み進めていくうちにわかってくる。 ナポレオンのエジプト侵攻の直前,中世騎士道的的マムルーク騎兵軍団で近代的なフランス軍に対抗しようという無謀な計画が進む一方で,もう1つの計画が進められていく。 「災厄(わざわい)の書」とよびならわされている秘密の本をナポレオンに献呈して,それによってフランス軍勢を全滅させようとする計画がそれだ。 本書のページ数の大部分は,「災厄の書」に書かれている千年の時を超える話(魔術師や勇士が登場)に割かれるのだが,読むとどんどん引き込まれていくことと,その話の中にも本を書く人間,読む人間が出てくることを述べるにとどめておきたい。 ナポレオンに対する計画そのものがどうなったかについて,ここでは書きたくないのだが,自分自身への覚えとして「糸杉」とよばれる少女を通じて完遂することになるのだろうということだけ記しておく。 ところで本書は,以上の内容(といえるほど書いてもいないが)を記した英語の本を著者が見つけ訳した,という体裁になっていて,さらにその「英語の本」自体,初版百数十部の匿名の書物の,著者名がない故に多くの人々が勝手に編集し,潤色した歴史をもつものなのだ。 つまり,何重いや何十重もの引用符につつまれた形で物語が語られるのである。 戻って,表紙絵の話になるが,フレデリック・レイトンというイギリスの画家によって1895年に書かれ,数奇な運命を経て(ちょっと大袈裟)現在プエルトリコの博物館にあるものだ(詳しくはフレデリック・レイトン"Flaming June"とプエルトリコ)。 本を読み終え,絵の来歴を知ると,最初に書いたこととは逆に,いかにもこの本のカバー絵にふさわしいと思えてくるのである。 その意味でも,二重に損をしているような気もするのではあるが(笑) 以下2つは,本文からの引用。 「聴きたい者のまえには……いずれにせよ,わたしは姿を見せるのです」 「あなたが?」 「物語が」 「物語りも。それもまた,不死ではありません。譚(かた)りづづける者がいなければなりませんし,そのためには,同様に聴き手もいるのです」 こう迫られたら,読まざるを得ないでしょう(笑),ゼッタイにオススメです。 とくに、ファンタジーが好きな人,ミステリが好きでファンタジー調になるのが嫌いでない人たちに,そして「実用書」ではない本好きのすべての人たちに。 古川日出男の他作品についての日記は,フリーページ 読了本(日本) (古川日出男)からごらんください。 参考ホームページ:エンサイクロペディア『アラビアの夜の種族』 楽天ブックス 記事関連のオススメ日記 rocketbooksさん 世界の中心で、Why?をさけぶさん nopi’s talkさん 未来の予定~ラビ的(みっつ君) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/07/10 12:51:59 AM
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