|
全て
| カテゴリ未分類
| パソコン一般
| 読んだ本(ミステリ・日本)
| 英語の読書
| Access・Wordなど
| 読んだ本(ミステリ・海外)
| HP・ブロク・ブラウザ・スパイウェアなど
| TV・映画・コミックスなど
| 読んだ本(その他・海外)
| 読んだ本(時代)
| 北森鴻
| 京極夏彦
| 連続テレビドラマ
| 高田崇史
| 森博嗣
| 綾辻行人
| 定期スキャン
| ジャポニカロゴス
| 読んだ本(その他・日本)
| ネプリーグ
テーマ:ミステリはお好き?(1495)
カテゴリ:読んだ本(ミステリ・日本)
古典部シリーズの2作目である,
米澤穂信の「愚者のエンドロール」(2002,Why Didn't She Ask EBA)について,その1の続きです。やっと本文(笑) 神山高校の文化祭に向けた2年F組のビデオ映画を見せられた古典部の4人だが,製作途中の未完成な作品で,タイトルも「仮題:ミステリー」とついただけの,死体発見直後に終わってしまうものだった。 しかも,脚本担当の本郷真由は倒れて,これ以上書けない状態だという。 「女帝」こと入須冬美の頼みで,ビデオ映画製作にかかわった3人の解決案を聞いて,それに採否に意見を述べることを頼まれた古典部だが, 上手袖の窓から犯人が出入りしたとする中城案, 2階の窓からザイルを使って上手袖の窓に侵入したとする羽場案, 7人目の怪人によるホラー殺人で鍵はどうでもいいとする沢木口案, のすべてを本郷の意図に合わないことを理由に却下することになってしまう。 探偵の才能を使って,「事件」を解決に導いてほしいと入須から頼み込まれた奉太郎は,無事解答を見つけ,ビデオ映画も完成するのだが…… 奉太郎が完成させた「万人の死角」に,他の古典部メンバーはそれぞれの立場から,それが本郷の意図と違っていることを伝え,奉太郎自身もそのことに気づく。 これは,英語タイトルである「Why Didn't She Ask EBA?」と大きく関係し,千反田えるの「本郷真由さんはなぜ,信頼と体調を損ねてまで途中やめなければいけなかったのか?」という疑問や入須及びその背後のお方(笑)が奉太郎にやらせたかったことの真意ともからんでくるのだが,ここらへんは本をお読みください(笑) 長くなりましたが,以上はすべて前置きです(大笑) やっと本題 以下は,既に読んでいる方に向けて書いています。 って要するに,未完成ビデオ映画の「解決」について,奉太郎の考えた犯人や,脚本の本郷が意図していた犯人以外に「怪しい」人がいるので,それを披露しておきたいだけだ(笑) 今回の(ビデオ内)事件では動機は一切出てこなかった。そうなると,ウソツキが犯人ではないのか? 名前をあげてしまおう。勝田竹雄である。 上手袖の密室 p48~49で,上手袖のドアのノブに手をかけたのも,「開かない」といったのも勝田であり,そのことを誰もチェックしていない。 マスターキーを使ってドアを開けたのが誰かは不明だが,勝田以外の2人が鍵をとりに走り,勝田が受け取ってドアを開けたことはじゅうぶんに考えられる。 つまり,もともと鍵はかかっていなくて,密室ではなかった。 勝田のウソ 中城によると下手袖の扉は積まれた角材でふさがれている(p90)し,1階左通路奥の控室はドアノブが壊れていて鍵がかからず,中に入れない(p93)。 部屋を調べてロビーに戻ってくるときのビデオ映像では,右階段から鴻巣,左側通路から山西,しばらく置いて左側通路から勝田が現れる(その後左階段から瀬之上,用具室に杉村,海藤は死んでいる)。 山西は左通路手前の部屋を調べていたと考えるのが自然だろう。その間,勝田は何をしていたのか? 奥の控室には入れず,同様に下手袖にも入れない(要するに通路にしかいることができない)のに,戻りが山西のしばらくあとである?? さらに,「どうだ,そっちは」と自分からきっかけを作り,「鏡の破片が散らばって」使えないという山西,黙って首を振る「鴻巣」に対して「そうか。こっちも似たようなものだ」と,これがウソ!! 「調べられなかった」ことと,「似たようなもの」は大違いであり,「開かないから使えない」といった場合に「その間何をしていた?」と聞かれることへの牽制に違いない。 第二の密室破り 以上では,勝田がウソをついていたこと,上手袖の「密室」が密室でなかったことだけしかいえていない。 では,勝田はどうやって右通路に行ったのか? 沢木口の発想に近いのだが,犯人さえわかれば,道は作ればいい!! 「金をかけた」劇場であるにもかかわらず,「地下」(の地図)がないというのがポイントだね。 羽場がもってきた見取図には設計士が「中村青」(までしか読めない)とある。劇場がいつできたかの記述はないが,鉱山が栄えていた頃ということから考えて15年以上前としてよいだろう。 そうなると,綾辻行人氏の「知人」であり,1985年に死亡した「館」シリーズで有名な中村青司がこの劇場を設計したとしても不自然ではない。 やったね,秘密の抜け道だ!! 結論 左側通路に入った勝田は,山西が手前の部屋を調べている間に秘密の抜け道を通って右側通路に行き,海藤とともに(あるいはあとから)上手袖に入って,海藤を殺す。 鍵はかけずに,再び左側通路に戻り,ロビーで集合したあと,「迎えにに行こうと」皆を先導して右側通路に行き(p48),あたかも上手袖が密室であるかのように見せかけたのち,杉村に海藤の死体を発見させた。 とまあ,「毒入りチョコレート事件」にならってもう1件推理を追加してみた。 ザイルの使いみちは? う~ん,秘密の通路の片側が地震で壊れていたからとか(笑) しかぁっっっっし,薄い割にはむちゃくちゃ遊べた本だった(大笑) この作家,ますます好きになりそうだ!! 時代,場所,登場人物などをフリーページの米澤穂信メモ(古典部シリーズ)に簡単にまとめてありますので,ごらんください。 米澤穂信の他作品についての日記は,フリーページ 読了本(日本) (米澤穂信)からごらんください。 米村穂信公式ホームページ:汎夢殿 楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/12/08 02:23:24 AM
[読んだ本(ミステリ・日本)] カテゴリの最新記事
|
|