まあぼの交差点

はやみねかおるの「僕と先輩のマジカル・ライフ」（2003）

を読んだ。

家賃１万円の下宿今川寮の先輩である長曾我部慎太郎と，M大学文化人類学科１年の同級生であり，幼なじみでもある川村春奈に振り回される井上快人の「楽しい」話である。

騒霊，地縛霊，河童，木霊といった不思議な現象がそれぞれの章で「合理的」に解決されていくのだが，主人公の３人組のうち，春奈は「本物の霊能力者」であり，長曾我部は「本当に人間なのか？」わからない存在。
井上快人自身，「決められたことは必ず守る」，「休講時間は図書館で自習」，「夜は９時に寝る」，「趣味は写経」と春奈に言わせると「真面目で，おもしろみのない変人」であるのが楽しい。

「あとがき」によると，快人と春奈のデビュー（快人の姓は小林になっている）は小学校６年生の夏休み，角川スニーカー文庫のアンソロジー「殺意の時間割」に収録された「天狗と宿題、幼なじみ」であるとのことだが，これは既に読んで日記にもした「青に捧げる悪夢」（日記は→こちらから，ただしこの作品に対する言及はほとんどありません）にも収録されていた。

こちらでも，「夏休みの約束」を守ることにこだわる快人と，快人との共同の自由研究のまとめでの役割は自分の名前を書くだけという春奈の昔から変わらない関係が見られて楽しい。


はやみねかおるの作品についての日記は，フリーページ　読了本（日本）　（はやみねかおる）からごらんください。


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