在宅療養中のとある50代の患者さんの配偶者が、患者さんの訪問看護ステーションの所長あてに電話を入れ、1時間にわたり訪問看護師の応対についてクレームを言ってきたとのことで、その所長から私に報告の電話があった。
その所長さんは、それほどまでに対応を非難されるのであれば、他のステーションに変えては如何か、と提案をしたそうだ。
そのクレーマー配偶者がいうには「患者自身は優しい性格であり、看護師たちの応対に文句をいえないので、配偶者として患者の知らないところで話している。クレームをつけたことは患者には話さなくてよいが、クレームにつけた点に関してはなんとか修正して欲しい。」と。
ホスピスでもよくある話で、
患者の死を受け入れられてない患者家族から、こういったクレームは発生する。
言葉遣いが馴れ馴れしく患者に対するリスペクトがないとか、髪を乾かす際にドライヤーの風が顔に当たり熱そうにしていたとか、歯ブラシのあと歯茎に血がにじんでいたとか、患者さん自身は気にしてないようなことをあげつらって、クレームをつけてくる。
今回、看護師のどんな言動に対するクレームだったのかは詳しくは聞かなかったが、恐らく患者自身は気にしていないことだと思われる。
夫が、妻が病気になった時、その配偶者も心の病に襲われる。なぜそばにいながら気づいてあげられなかったのか、緩和ケアに世話になる前にもっと何かできたのではないか、なぜ妻は、夫は緩和ケアを受け入れているのか、そもそもなぜ自分の配偶者ががんになったのか、答えのない想いが爆発したとき、医療者に対してやつあたりをしたくなるのだろう。
それをただただ聞くことも緩和ケアなのだが。