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あれこれ備忘録 ホスピス医のこころを支えるもの

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粗忽のたかびー

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2024.09.04
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カテゴリ:緩和ケア


最近入院してきた70代前半の女性。
夫を5年前に亡くした。
夫はしっかりした人で、その女性と子どもたちが、その後もめないように、財産分与をしっかりして旅立った。
夫婦で建てた家は長男に相続させ、等価となるものを九州にすむ次男に与え、その女性にはそれ相応の現金を相続させた。女性は長男家族と同居することになるのだが、長男の家に居候という形で住居費+生活費を払うようにさせた。その女性が死んだら、残ったお金はまた長男、次男で折半するように、というのが亡き夫の考えであった。
しかし一昨年、長男が急逝してしまった。而してその家はお嫁さんの名義になった。お嫁さんは孫を連れて東京の実家に帰ってしまい、その後籍も抜いた。
この2年、その女性はお嫁さん名義の家に一人ですみ、家賃をお嫁さんに払う、という形をとっていた。
しかし、半年前に末期がんと診断され、無治療のまま何とか頑張ってきた。しかし徐々に足腰が弱ってきて一人では生活ができなくなり、お盆前に前医に入院、帰省していた家族がホスピス外来に相談に来られ、ベッドが空くのを待って転院してきた。余命は1〜2ヶ月。

頼りになる夫、長男に先立たれ、働き盛りの次男の世話になるわけにはいかない。長男が死ぬまでは、お嫁さんも働いていたので、孫の面倒は私がみていた。去年の初盆には来てくれたが、今年は忙しいのでごめんなさい、と言って来なかった。九州の次男家族もお盆には来てくれた。「ホスピスに、お世話になるのがええんちゃうか」と言って帰っていった。次は正月まで来ることはないだろう。もう、1、2ヶ月かなと自分でも思う。私がなに悪いことをしたっていうんやろ。こんなに寂しい思いをせんならんのは何かのバチが当たっているんやろか。何の生き甲斐もない。生きていても辛いだけ。先生、早う夫と長男のいるところにいかせてください。

生き甲斐が無い状態。でも、生きていかなければならない。
最期まで僕らが面倒みるから。遠くの肉親より近くの他人、って昔から言うでしょ。

先生は慰めるの下手やなあ、と苦笑いされました。








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Last updated  2024.09.05 08:26:15
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